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CAD/CAM一貫化

ここで説明するCAD/CAMは非常に幼稚なレベルである事
をまずお断りしておく
一部では完全全自動というような素晴らしいシステムも存在す
るからである
一個人の作品としてはこんなものかと思ってほしい
・エジェクタプレートの無人加工
まず2次元の事例であるが、エジェクタプレートの図面を再掲
する
これなら穴ばかりだし、比較的自動的に加工データを作りや
すいと思った
・穴を作図でなくパターン呼び出しで書いてもらう、パターンを
コピーするのは可能とする、そうでないと効率が悪い
パターンには予めエジェクタピンの種類となる情報を書き
込んでおく(例えばミスミ製のつば径等)
・図面を読み込み、例によってIGESデータに変換する
ここまではCADでできる
・IGESデータからパターン情報を抽出し、穴種別、径別
に並
び変える
・Gコードに変換するのに文字コードがASCIIでないと作れな
いため、CADのFORTRAN形式から、ASCII形式に文字
変換する、慣れているCOBOL言語を使用
パソコンで読めるようにフロッピイに出力
・パソコンでBASICを起動、Gコード変換プログラムを起動
・情報を一回読み、センタードリルの加工データをGコードで
作成する
・もう一度読み、ドリル粗加工データを作成、更にリーマ加工
のデータを作成する
・紙テープに穿孔するプログラムを起動する
・NC加工機で加工する
この一連のプログラムをオペレーションする、複雑に見えるが
他の手段では当時のマシン構成では出来なかった
事前調査として、IGESの仕様、FORTRANでの情報の持ち
方、紙テープ穿孔装置の仕様、コード体系、NC加工機の仕
様、Gコードと呼ばれるNC加工機操作言語の仕様等があり、
結構楽しかったがそう思えるのはプログラマの特権かもしれ
ない、これをノルマでやるのは苦痛と思う
出来上がったシステムは私以外ではメンテナンス出来ず、3年
で使わなくなった
後任の担当者がメーカーに依頼したが結局出来なかったよう
である
当時も今も複数のプログラム言語を操るのは容易なことでは
ない、この場合FORTRAN,図形処理言語、IGES、COB
OL,BASIC,GCODE,操作マシンもCAD、パソコン、紙
テープ穿孔機、NCマシンとなり、一人では難しいし、複数で
は連携が難しい
専任の揃ったメーカーでも難しいのは理解出来た
図面を見れば判るように、これ以上簡単なCADCAMのテー
マは無いと思えたのに、やってみたらこれである
世の中一般のCADCAMが如何に難しくまた絵に書いた餅で
終わった理由も理解できると思う
更にこのシステムを生かすには加工ノウハウの吸収が必要な
のである
具体的にいうと、NC機にセットできるドリルの本数はこの場合
は15本であった、つまり右図の様にセンタードリルは各穴共
通としても、穴径1種類について2本のドリルを使うのだから、
7種類以下に穴径を少なくしないと加工途中で工具交換が発
生する
つまり自動化するには冒頭の設計標準化として、エジェクタ
ピンの直径の種類を少なくしておく必要があるのである
更にエジェクタプレートはエジェクタピンの他にガイドピンとボル
ト穴が最低でも2種類必要なので、エジェクタピンは最大4種類
しか加工できない
この制約事項を設計段階で入れるための標準化なのである
世の中ではめったやたらと標準化推進を唱える人がいるが、
その前に「なぜ」を明確に示すべきである
ここまで進めば、「エジェクタピンの種類は一つの金型で4種類
まで」という新しい設計標準に誰も従わざるを得ない
恥ずかしながら私もこの段階に到達して初めて体で理解出来た
設計者は無人運転による労務費削減と、作業者の徹夜作業
からの解放が自分たちの標準作業によって生み出されると
知ってからは、ますますCAD活用に積極的になり、同時に私
の株も上がった、設計に配属されてきた時に最初に「標準化」
から手を付けたことへの、つまり先見の明への賛辞であった
私は正直に標準化の効果をそこまで呼んで実施した訳ではな
いと打ち明けたが、それを謙遜と受け取ったようでますます株
が上がりしかも、噂が尾ひれをつけて全社に広まり、果ては
金型に全く関係ない部門の責任者が私の顔を見に来る始末
能力があって誉めるれるのは嬉しいが、これは正直困った
エジェクタプレートには多い場合は100個以上穴を空けるの
で加工時間が10時間を超えるケースもある
夜間に無人で加工できるか夜中に止まってしまうかは大きな
効率化要因であった
こういったことが揃わないとCAD/CAMができたとは言わな
い、これには賛成してくれると思う
つまりメーカーのCAD/CAMと称するものを導入しても自社
の入念な事前準備なしでは効果は出ないのである
CADCAMに関しては事前準備の90%が設計である
仮に出来たという振れ込みのシステムも説明を聞いてみると
効率が悪く使い物にならない
これは、今でも効率化できた数少ない事例であると自負して
いる
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