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CAD機能強化3

・自動寸法
 金型のいやらしい寸法を現場で計算する作業を軽減するため寸法
 設計で寸法図を作る事になったが、結構面倒な作業であり、
 設計の効率化とは逆行する
 しかし全体最適として仕事をどこで行えば良いかと考える能力
 が設計者にはある、彼らは全く反対しなかった
 また、これを機会に現場の作業者と話す機会が増え、大きな
 誤解が一つ解消した
 それはCADに自分たちの仕事を取られるという嫌悪感である
 CADはあくまで機械であり道具だからそれをどう使いこなして
 もっと儲けるか、という当たり前の説明をしたら、一遍に彼らが
 仲間になってくれた
 そして私を現場に呼び出し、難問、奇問をぶつけてくれるように
 なったし、私も彼らに子供の様な素朴な質問をし、困らせるよう
 になった
 やってみれば判ると言って、操作させられたこともあった
 やってみるとワークのセット一つからして技能である事が判る
 「磨き」といって、金型の製品になる表面をつるつるになるまで
 細かい紙やすりで磨く事もやった、わずか10cm平方位の場
 所を3日間こすり続けるのである
 設計でドジをやって現場で怒鳴られたこともあった
 今思い出しても涙が出るような思いをしながら、仕事を覚えた寸法
 懐かしい思い出である
 話がそれてしまったが、そんな彼らに報いるべく作成したコマン
 ドである
 自動設計をやったらいつかは寸法線を記入するという事も自動
 でやることになる
 どこにどういう寸法を入れればいいかのノウハウを自動化する
 そのための予行演習でもあった
 ノウハウを順に説明すると
 ・寸法は1図面、一か所に一つとする、重複するとミスのもとになる
  ただし、現場の計算を補助するため補助寸法を入れる事はある
  その場合はカッコ付きにする、今回はその作業が目的である
 ・寸法は見やすい位置に入れる、見やすいとは、その寸法を探す
  時目が行きやすい場所である
  基本的に上と右が優先である
 ・文字は重ならないように横にスライドして記入しても良い

 このルールで寸法を入れると右図のようになる
 縦方向の寸法が右でなく左優先になってしまっているが、ご愛敬
 この寸法表記法を絶対表記という、原点からの距離を記入する
 方法である
 図形が1つだけなのでシンプルに見えるが実際は寸法が重なり
 ごちゃごちゃになる、とても使い物にならなかった
 しかし、欲しいのは部分図の特定の場所だけなので、そこだけ
 切り取ってから、このコマンドをヒットするだけで、パッと寸法が
 全部出るのは壮観であり、結構受けたし、現場の人が計算が面
 倒だからと私の処にやってきてその場でCADで寸法出しをする
 という場面が増えた
 
 このコマンドの作り方だが、事務処理的なプログラムである
 ・図面から図面枠レイヤー以外の線分をIGES変換する
 ・図形要素の内、文字や既に記入されている寸法等の要素を削除する
 ・パターン図形を線分の備考欄で判断して削除する
 ・線分の端点座標、円弧の中心座標をまずX軸で小さい順に
  並べる
 ・重複している座標を削除する、その際Y軸が小さい方を残す
  (右側優先なので大きい方を残すのが正解だった)
 ・寸法を表示する対象端点の左側30mmに絶対座標を表示す
  る寸法コマンドを発行する
  もし、直前の寸法とy座標で5mm以下だったらさらに20mm
  左にずらす
 ・y軸で小さい順に並べる、同様にして端点の上に寸法コマンドを
  発行する
 ・円を抽出する、円の中心座標が図面の中心点より左上の場合
  左上の半径足す30mmに半径を表示するコマンドを発行する

 このような図形処理を行うようにプログラムを作った
 しかし、人間というのは素晴らしいとこういった自動化をするごと
 に感じる
 まずネジのようなパターン化した部品はパターンの表示位置が
 判れば、それ以外の線分の寸法はいらない
 図面の枠、文字、寸法の寸法もいらない
 これだけでも結構大変だったことがうかがい知れると思う
 「空いた場所に記入する」というのが、上記プログラムロジックのEJ
 更に20mmずらすという部分だが、やってみると必ずしも見やす
 くない、うまく自動化出来ないのである
 人間だと上下に表記位置をずらすのと使い分けているが、そこが
 プログラミング出来なかった
 また、例のように4つのコーナーR全ての寸法が出てきてしまう
 この内一つだけでいいという判断をどうやるか
 これは解決できなかった
 
 この自動寸法が比較的そのまま使えたのがエジェクタプレート
 呼ばれる図面である
 図のように多数の穴があいている板の図面である、円の半径は
 記入せず、中心座標のみ表示する
 この図面に関しては設計者の負担が大きく軽減した
 設計ノウハウをどう取り込むかの参考になったし、設計者も私に
 どう要求すれば自分の欲しいコマンドを作ってもらえるか理解し
 てもらう教材になった
 
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