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製品標準化と自動設計
部品のパターン化や自動寸法のような部分的な準備を
3年ほどやった所で、最初の目標に立ち返る時がつい
にやってきた
ここまでで、自動設計を製品レベルで実施するための
課題が、これを読んできた方にも粗方推測が出来てきた
と思う
・まず基本の整理整頓が必要である
線の種類、ネジの種類に始まり、図面の描き方、これは
継続的テーマになる、自動化が進むと見直しが必要に
なるものがある、設計者の余力を生みだすように常に改
善と背中合わせである
・整理整頓したものを定着しやすくするには、パターン化
に代表される仕組み作りが不可欠である
後戻りさせないように、なおかつ効率化を推進するため
新人の教育も含め、仕組みを守り易くする工夫とセット
である、良い仕組みは効率的であり、守り易い
・設計ノウハウを私の様な素人が判るようにやさしく文書
化しなければならない、そうしないとシステム化できない
私の様に設計を覚えてくれるプログラマはそうはいない
し、時間がかかり不効率である
この考えはは5年ほどして「ナレッジマネジメント」という
ジャンルになった
すぐに手を付けていれば業界最先端だったと思う
・設計は儲けと改善効果の宝庫である
製造や購買分野でシステム化で改善をしてきた私にと
って魅力的な職場だった
必ずしも製品設計を自動化する事が最終目標でなくと
も十分効果のある改善がごろごろしている
自動寸法等、比較的派手で判りやすい改善事例を上
げたが、細かいものも多々あった
私一人で最大効果を挙げろと言われたら今でも製品の
自動設計でなく、部分改善を優先すると思う
・製品の自動設計のためには、
・部品個々の標準化とパターン化、
・部品間の関係のナレッジマネジメント構築
・製品種類の標準化
が必要である
・しかし、金型の場合、製品種類の標準化とはそのまま、
顧客からの注文の絞り込みになってしまう
当然、トップから待ったがかかった
注文を絞れるほど、裕福ではなかった、むしろ取れる仕
事はなんでもやれという位でないと、稼働率だけで赤字
になる
また、経営として考えても、長期的には常に新ジャンルを
切り開いていかないと尻すぼみになってしまう
メニューを多くしてお客を増やす作戦を取らざるを得ない
と考えていた
昔からの10年一日の注文を地道にこなす場合には標準
化は有効である、そしてその場合しか自動設計は成立し
ないということも私だけでなく設計者全員が判るまでに経
験を積んでいた
そこでどの辺を着地点にするかを考えた
私一人がというより設計部門として、私という人間をどのよ
うに使うのが効率的か設計部門として考えたといったほう
が合っている
形状可変パラメータ2の項で簡単な製品図の作成プログ
ラムを作ったといったが、これをもう少し煮詰めると言う事に
なった
・こうして、製品図の自動設計システムができた
作図言語はインタープリター式だったので、終了まで90分
かかった、CADメーカーはコンパイルシステムを作ってく
れた、15分で描けるようになった
デモとしてメーカーからも使用願いがあり、著作権を主張せ
ず快く了承した、コンパイルも含め共同制作という形にした
なにしろ見栄えが良かった
冒頭でいくつか質問がある
金型形式は2プレートか3プレートか、ガイドピンはミスミ製を
使うか、フタバ製にするか、成型機は何トンにするか等々、
金型屋のプロかどうか試すような質問が優越感をくすぐる
更にシステムから外形寸法の計算結果が表示され、変更も
できる、指示が終わると作図に入る
出来るまでは退屈だが、メーカーの営業にとってはこの間
にセールストークが入れられる
できあがった結果はパターンがいくつか使われているため
このパターンがそのまま使えるだけでも価値があると思える
ようである
冒頭の製品図をお客から貰った図面から反転する所も素人
受けするようである
しかも、製品の大きさをプラスチックの収縮率分拡大するた
め収縮率を入力すると画面内でグッと変化するのが受けた
社内でもお客様がくると現場だけでなく、CADを使ってNC
まで一貫加工していることをアピールするため、冒頭のデモ
で使われた
ただそれだけで、後は何にも使えない、経営的効果、営業
効果はあると開発課長は言ってくれたが・・・
読者をがっかりさせる味気ない結末で申し訳ないが、事実と
して報告しておく、もう時効だと思うし・・・
それよりも私の後輩がこの考えを発展させ、「CAD化率」なる
言葉を生みだした
今まで作ってきたパターンや自動作図形状を一枚の図面の
中でどれだけ使用しているか
全線分の中の比率として表す、私が担当していた頃で確か
30%程度だったらしい、これは図面枠や表題欄も含むため
高くなるようである
担当が後輩になってから65%まで上がったと言っていた
CADの担当者なら判ると思うが、30%も65%も驚異的な
数字である
自動設計で100%は無理だったが、作図効率を考えると、
50%位が達成できれば、設計者はもう手書きがいいとは言
わないだろう
これをこのテーマの結論としておく
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