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品質に対する思い違い

私は品質に関しては無知である、専門教育を受けた事はない
会社の昇級試験でQC7つ道具というのが何か知らずに恥ず
かしい思いをした事がある
なぜ毛嫌いするのか自分の感情が自分で理解できずにいた
私の発想法は「これからどうする」が一番であり、「今まではど
うしていたのか」は2番目に来る、あくまでこれからを考えるた
めの、複数の考慮項目の一つとして過去がある
しかし、品質管理部門の人達の発想法は、過去が一番であり
そこからしか「これから」を導こうとしないように思えた
その違和感が毛嫌いの理由らしいと気づくのに10年位かかっ

トラブルが起きるたびに、データを収集し、グラフを描いて、層
別し、大きな原因から順につぶしていく
品質部門の人達の考え方にとてもついていけないと思った

なぜかというと、私がコンピュータの黎明期を最も仕事を覚え
る20代で経験したため、改善でなく革命、革新でないとつい
ていけない業界に身を置いていたからと思っている
コンピュータ業界は半年で性能が2倍に上がる世界である
先週の常識は今週の非常識、常に自分自身を否定し続けな
いと新しい考え方についていけない世界であった
例えば、私が入社した時は300行のプログラムを作るのに3
日位掛っていた、新人の私もそれを目標にした
しかし、3ケ月後新しいユーティリティなるものが導入され、印
刷プログラムだけは1日3本が標準的スピードになった
つまり、9倍のスピードになったのである
6ケ月後、私は小規模システムの作り変えで1週間で50本の
プログラムを作っていた、入社6ケ月の新人としてはまあまあ
のスピードだった
つまり、普通のプログラムも半年で15倍のスピードになった
のである
2年後新しいコンピュータに切り替えるため、今まで作ったプ
ログラムを全て見直し、作り変えた、新しいコンピュータは同
時に20本のプログラムが従来の10倍のスピードで動作する
ため、それまでの磁気テープ主体のマシンオペレーション感
覚では人員が200倍必要になるため、同じ人数で処理する
にはどう変えればいいか検討する事から始まった
この文章を見ている人で当時のコンピュータ事情を知らない
人は信じられないと思うだろうが実際にあった話である
このスピードの変化は少し良くするとか悪いところを直すとい
う、発想では到底達成できない事は理解できるだろう
今までのやり方を全て無視して、ゼロから発想しないといけ
ない
そうしながら現状システムのオペレーションは続けるのである
正気の沙汰ではない
そういう仕事の仕方を当然と思った人間から、品質部門の仕
事を眺めたら理解不可能なのはむしろ当然だった
私の仕事にとって、過去は邪魔者でしかなく、頭を空の状態
で常に業界の新常識を探し続けるしかなかったのである
後で知ったことだが、当時の品質部門の人達の仕事の仕方
を結果品質というのだそうである
過去を反省出来るなんて、なんて幸せなんだろう
皮肉でもなんでもなくそう思った
社内の研修会でたまたま同宿になった品質部門の人と酒を
飲みながら喧嘩になった事があるほどである
そうこうする内、私も年を取り、この進歩の激しい業界につい
て行けなくなり、金型部門に配属になった
20年前の金型の入門書を渡され、勉強するように言われ、
茫然とした思いがある、古い事を覚えてそれが有効だなんて
その日は信じられなかった、その日一晩寝ながらやっと冗談
ではないらしいという事が理解出来た
私の人間のスピードで仕事をする入社してから最初の1日の
スタートであった
私はかって喧嘩した品質の事を思い出し、金型と並行して勉
強した、まずは「結果品質」とは何かである
前置きが長くなったが、私の視点をまずお話ししておかないと
読者からひんしゅくを買いそうなので恥を忍んでお話しした
以下、順に結果品質、現場品質、事前予防と話を進める

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