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CAD機能強化2

勾配
 勾配勾配を説明するにはプラスチック製品をどうやって作るか
 あらましを説明しなくてはならない
 右図のようにプラスチックを作るには、高温で溶かし、ゲー
 ト
から金型に流しこみ、隙間に充填してから冷えるまで待ち
 金型のコアとキャビティを上下方向に離して間に固まった
 製品を取りだす、その後ゲートをハサミで切り離して出来
 上がりである
 これは「射出成型」と呼ばれる方法である
 金型のコアとキャビティを上下方向に離す際に製品が冷
 えて収縮するためコア側にくっついてしまう
 これをはがすのにコアに細いピン(エジェクタピン)を通し
 て、製品を押し出す
 また、はがしやすくするため製品の下から少しだけ傾斜を
 つける、これを勾配という
 近くにプラスチックでできた製品があったら確認してほしいテレビ
 表面はつるつるなのに裏側に丸い跡が見えないだろうか
 これがエジェクタピンの後である
 また真四角でなく、内側に入るに従い少し狭くなっていな
 いか
 勾配は1〜2°くらいなので僅かだが、その他にデザイン
 として抜けやすくしてあるものも多い(バケツ等)
 そこでこの勾配をCADで作図するのであるが、垂線や
 平行線は引きやすいが勾配線は角度を指定する分だけ
 面倒な事が判る
 更に、勾配線と他の線との交点は皆中途半端な寸法の
 交点座標になる
 勾配とエジェクタピンに加えて、プラスチック製品は冷え
 て固まる際に収縮するといったが、直線で製品を構成す
 ると収縮する度合いが長さによって違うため、ひよって変
 形してしまう
 これを少しでも防止するため、表面を僅かに球形にする
 これが寸法計算を更にいやらしくする
 この交点座標を計算するだけでも一苦労するのである
 一例として「四角い容器」を示す
 どこが四角なのか、丸い容器ではないかと、このページの
 読者ならばもうそんなことは言わないだろう
 多少極端だが、プラスチックで四角の入れ物を作ると、
 こんな感じになる
 そこへ右図のように「端点から5cmの処へ棒を作りたい」
 と思ったとする
 端点でどこのことをいうの?
 仮に図の様な場所だったとして、「製品の端点」からは何
 ミリなのか
 こういった寸法出しや形状作成を簡単にやれるような機能
 を勾配補助機能として作成したのである
 必要性といやらしさが判っていただければ幸いである
 まだ他にも右図の側面図に見える「リブ」と呼ばれる形状を
 勾配と中心を指示すると描けるとか、逆に先端の直径を確
 保するにはいくらの勾配で良いか計算して描くといった機能
 を追加していった
 設計者も次第にアイデアを出すようになり、正に2人3脚で
 新しいコマンドを作るため、試行錯誤的に作っては直しを
 繰り返したこともあったが、やりがいのある仕事だった
 簡単なものも入れて3年間で延べ2000個のコマンドを作っ
 たが最終的に残ったのは200位だったと思う
 ここでは逐一紹介するのでなく、作成プロセスだけを紹介した

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