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自社独自のニーズの入れ込み
はっきりいってこれをやって私は失敗した
MRPロジックとは大まかに言うと
@生産計画を一件読み込む
A部品構成表から製品の直下の構成部品を読み込む
B生産計画と部品のリードタイムから使用予定情報を作る
C在庫を読み込む、在庫がいつ時点のものか読み込む
DMRP履歴データから既に注文済みと出庫済の情報で
在庫更新時点より後のデータで推定在庫を計算していく
E生産計画と部品構成表から作成した使用予定情報
で部品不足場情報を作り、不足した段階で注文情報を
作成する
F@に戻り、生産計画の代わりに注文予定情報でA以下を
実行する
G最下位部品になるまで繰り返す
となる、このロジックを変更したのである
結果としてノーマルのロジックより数倍計算時間がかかり、
ノーマルでは数時間でMRP計算が終わるはずが、1日たっても
終わらず、運用できなくなってしまったのである
原因として私のプログラミング能力不足ならむしろ問題は小さいが、
データのアクセス回数を理論的に減らす事が不可能だったので
ある
基本ロジックのままで自社独自ニーズを入れ込むにはどう
すればいいか
結論的に申し上げれば、システムであらかじめ用意された
パラメータを活用してなんとか似たような運用を実現することに
つきる
いくつか筆者の経験した活用事例を挙げる
@出荷時点の出庫構成部品表の作成
出庫表とは生産ラインに出庫する部品の一覧表である
システムにも標準的な出庫表があったが、最新の部品構成表を
使用するため部品改廃を反映した注文時点の構成表でない
という問題が発生した
つまりリードタイム(注文してから納品されるまでの日数)が20日
の部品があり、10日前にその部品を少し違う部品に設計変更
したとする
この場合今度作る製品には改廃前の部品を使いたい
そこで部品構成に改廃日付を持っていたのでいつ時点の構成
表を使うかを出庫表作成指示の際に入力できるようにした
しかしこの程度の機能がないシステムを売る側も恥ずかしい
へぼいシステムは売らないでほしいと切に願う
A選択部品の注文
部品構成表としては白い色の部品を持っているが、実際は組み
立てる際に売り場の状況で3種類の色から部品を選んで組み立
てる部品があった
そこで白い部品は注文しないように設定し(ファントム部品という)
3色のそれぞれの部品は発注点管理部品の設定を行いMRP
計算の対象外にした
B一括発注部品
ある組み部品をその子部品毎一括発注する、ただし孫部品の
中には別のサプライヤに発注する部品がある
例えば自動車のヘッドライトをその子部品ごと同じ業者に一括
発注するが、それに使用するパッキンだけは自社特許部品の
ため、専用に生産している別のサプライヤから支給するといった
場合、MRP計算した結果から特定サプライヤの注文を抽出し、
後で別処理した(子部品の注文情報の消しこみ等)
厳密にはそれではうまくいかないケースがあるのだが、件数的に
少数なので人間系でチェックリストをもとに対応することとした
C生産ラインによる出庫表の違い
同じ製品を2つ以上の生産ラインで作る場合に、ラインの設備に
違いがあり同じように部品を供給できない場合がある
例えばスポット溶接機の性能が古いため、奥まった場所の溶接が
出来ず、事前に2つの部品を別の業者で溶接してから持ちこむ
必要がある場合等
ポイントはBの事例のように全てシステムで対応するのでなく
対象件数が少数の場合は人間系で対応することである
また完璧にやりとげる必要がどこまであるのかといった見極めが
重要になる
以上長々とMRP運用の問題点と解決策を述べてきたが、これが
すべてでないことはもちろんである
また会社によって問題も違い、打てる対策も違ってくる
これ以上は優秀なコンサルタントを雇うと言った手段が思い浮か
ぶが、MRPシステムを売り込んだシステムエンジニアに依頼しがち
である
しかし、システムエンジニアは事例Bのような人間系が絡んだ対策
ではなく、私が失敗したようなロジックの変更案に陥りがちである
20年ほど前のバブル華やかりし頃、某社のERPシステム導入に
数十億円をかけ、結果的にうまくいかなかったという記事が毎月
のように日経コンピュータをにぎわしたがほとんどはこの類と思われる
金がかかる割にうまくいかないのである
金をかけまいとしたら知恵を絞ってシステムをだましてでも使うと言った
発想が必要になる
そのためにはまず自分が導入する予定のMRPシステムのパラメータ
を熟知し、コンピュータメーカーSEの知らない、自分達しか知らない
会社の事情をうまく反映したパラメータ運用をするようにし、場合に
よっては会社のそれまでのルールを変更してでも使いきることである
そしてそれがMRP運用のコツと思っている
読者の成功を祈る
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