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解決策その1 MRPの3要素の精度向上

MRPの3要素とは、生産計画、部品構成表、在庫をいう
MRP計算を行うには主にこの3つの情報を使用するからである
順に精度向上とはどういうことを指すのか述べる
出来る出来ないではなく、こうしないとMRPで得られた結果が使用
できないのである
1.生産計画
  生産計画のうち直近の計画を固定し、変更しない
  実際の生産と違っても実態に合わせ変更してはいけない
  会社によっては表示用の生産計画とMRP用の生産計画を
  分けて持っているところもある
  理由:
  生産計画を前倒しに変更するとリリース済み(注文書発行済)の
  部品が再度リードタイムより短い期間で特急注文が発行される
  しかもその通りに納品すると先に注文した分とダブって部品が余る
  これは、リードタイムを割り込んだ注文は変更できないという
  ルールがあるためである
  もし本当にそうなら特急注文もできないのであるが、無理やりに
  発注しないと部品切れになり、生産が成り立たないということも
  また真実であり、現実は特急注文は出来てしまう(サプライヤに
  無理をお願いする)
  実態はリードタイムはサプライヤとの相談や生産の状況、部品の
  材料が買い置きがあった等の条件により都度変化するのであるが、
  MRPではリードタイム1つしかなくこれを制約条件として計算するため
  実態と合わないロジックになるのである
  生産計画はいわば最上位の注文情報と考えることもできる
  最終の生産ラインとしてはお客の要求があったらすぐ作って納品する
  見掛け上の生産リードタイムを短縮したいが、MRPを使って部品注文
  を行うと全く逆の長いリードタイムで生産したくなる
  だから注文だけはMRPシステムで行っておき、納品はかんばん等の
  「使った分だけ納品してもらう」仕組みでやろうとする考え方もある
  この場合はたとえ生産が完了していなくても終わったことにしてしまう
  最初の分納分で全部入ったことにしてしまう等のMRPへのだましの
  テクニックを使わないとうまく計算してくれない

2.部品構成表
  部品表は部品構成表とも呼ばれ、ツリー型の概念で表現される
  一つ目の問題として、この部品表の変更には一括して変更する
  システムは不可欠なのであるが、これをリアルタイムで実行すると、
  時として膨大な変更時間がかかるため、システムとして変更機能
  が非常に貧弱な場合がほとんどである
  結果として設計者に過大な負荷がかかってしまうと、システムとして
  部品構成表の精度が悪化することになる
  例えばネジのように非常に共通度の高い部品を設計変更したとする
  人間系の作業は「ネジAをネジBに変更する」
  であるが、システムでは
  まずネジAを使用する全ての親部品を抽出し、それらの構成をAを
  基にBを作成し、次にAの構成の使用履歴を残すため使用日付け
  欄を更新して書き込みしなおす
  更に親部品、その更に親部品と最終製品まで構成をたどっていき
  Aの履歴を残しながら変更し、さらにBの新しい構成を生成する
  仮にAの構成が1000件、Aの親部品とそのまた親の部品との構成
  が500、更にその親とが500・・・とすると数の変更と新規のBの構成
  の生成が発生し、合計4000件以上のアクセスをしないとネジ1本の
  変更が出来ないことになる
  この一括変更の仕組みがないシステムが驚くことに存在する
  人間が一件一件修正することを考えてほしい
  部品構成表を維持管理するというのは非常に難しいのである
  問題のその2は設計部品表と生産部品表は細部で異なるという
  ことである
  設計部品表は親部品と子部品の関係だけだが、生産段階では
  国や地域によって注文する業者が異なるため同じ部品で複数の
  構成を持って見たり、親部品と子部品の間に中間組立部品を
  持ったりする
  生産部品表を作るには、設計で作成する部品表から製造で使用する
  部品表を作り、そこに生産で使用する情報を入れ込む
  そのため、部品表の作成順序を設計→製造の一方向のみとする
  システムが多い
  製造から設計への逆方向へ部品構成表の変更を依頼する人間系
  の仕組みがうまく機能するかがポイントである
  例えば部品を作るには2つに分けて作ってから溶接した方が安く
  作れる場合、サプライヤの進言に耳を貸し、設計変更を行う仕組
  みがないと高いまま部品を作ることになる
  一歩譲って、設計部品表では1つでも製造部品表では2つの部品を
  溶接でつなぐようように違った構成を持てるようにした場合、その部
  品の設計変更があった場合、製造部品表を正しく修正するのが困
  難な場合が発生する

3.在庫
  MRPを使用しない在庫の場合は精度を向上するには、在庫実査を
  こまめに行い、実査と帳簿との差異を解明することにつきる
  しかし、MRPで使用するには、それだけでは不十分であり、時間の
  概念と状態の把握が出来ないといけない
  つまり、MRPで計算されたオーダーデマンドリストと現在庫、および
  入出庫リストを見比べて、今現在は幾らの在庫でなければならない
  のか把握してから変更する
  これはMRPを理解していない、あるいはシステムの情報を自由に
  見られないトラックの運転手や情報端末のそばにいられない出庫
  担当者にはムリな注文である
  システム作成時に単に「現在庫入力」といった表現だけのシステム
  ではまず間違いなく正しい在庫入力はできない
  システム担当者も認識不足のままMRPを稼働させることがほとんどであり
  現場担当者だけでなくシステム担当者も一緒に何度もトレーニングし、
  システムを変更して誤解を与えるような表現を直してから本番稼動させる
  必要がある

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