TOP 自分の思い 邪馬台国 バイク 瓢箪 霊場巡り 囲碁と将棋 CAD/CAM 生産管理 海外の思い出 索引

在庫削減ノウハウ(在庫とリードタイムと需要予測の関係式)

最初に数式を示す
Z=A x J x L / (L / N) / Y

Z:品切れを起こさないための最低在庫数
A:担当者の考える安全係数(通常は1.0)
J:リードタイムの長さ分の期間の一日当たりの需要予測数
L:注文してから納品までのリードタイム
N:製品の生産循環サイクル(日数)
Y:需要の精度(完全を1.0、全く当てにならない場合を0とする)

例えば、リードタイムを10日、その間に売れるであろう製品の一日の販売数を100台
2日に一回同じ製品を生産する
10日後の需要の精度を0.5とすると、売り切れにならないだけ持ちたい在庫数は
400台となる
つまり10日間で最大2000台売れる可能性があるが、その間は今すぐ生産指示を
出しても作れない、出来上がるのは10日後である
だから、販売担当は10日分の在庫を持とうとする、しかもサバを読んでいる
そこをなだめて、2日に一回作るからということで、少ない在庫で運用できるようにする
それが(L/N)の意味である
あなたの経験則に合っているだろうか、毎日100台売れる製品は400台在庫があれば
切らさないで販売を続けられる?
数式全体ではリードタイムのLが消え、生産循環サイクルが残る
売りたい数に生産循環サイクルを掛け、10日後の予測精度で割る
リードタイムは消えたように見えるが実は予測精度の中に生きている
業界や製品によっては10日後の予測なんて全く見えない事もある
しかし、無意識にしろ何らかの数字を入れているから、在庫を持とうとするのである
これと同じ目的の計算式や理論はありそうでない
それでいて、リードタイム短縮といった手段については花盛りである
リードタイムが一日縮まれば何パーセント在庫が減らせる
あるいは、工場が週一でなく毎日生産してくれれば在庫は80%減らせる
こんなふうに、堂々と確信を持って工場長に進言したくないのか
あるいは在庫削減の根拠を求められた事はないのか
生産管理マンとして自分の主張に対し理論的根拠を考えた事はないか

逃げるわけではないが、これは私の持論であって絶対正しいと言っているわけではない
勉強不足でこれに替わる理論を見た事が無い
ちゃんとした理論があったら逆に教えて欲しい
とりあえず私が生産管理担当の時はこれをよりどころにして在庫設定をした
Aの部分は新製品や、顧客特性で営業と相談し最大3.0までと縛りをおいて運用した
時々見直しが必要だが、工場も営業もほぼ異論なく運用できた
次に手を付けたのが需要予測の分析である(需要予測のイロハ参照)
上記数式が必要な在庫は傾向変動、季節変動、循環変動に対してであって、不規則
変動を除く必要がある、不規則変動は自然災害や社会情勢のような予測不可能なものを
除けば、顧客要請や新製品特需のように固定要因だけである事は既に述べた
傾向変動、季節変動、循環変動は工場でも予測可能である
これら全てを固定数値として反映し、バラツキから除くと、日々の売り上げのバラツキだけが
残り、かなり少ない在庫で対応可能である
むしろ毎日100台売れるの方の100の数値が大きく確定値として変化する
例えばA社のバーゲンセールなので明日はいつもより30台多い130台売れると予測し、
実際は125~135台の間位の精度になる
需要の精度は約90%となり、在庫は200台位で運用可能になるのである
実際は全ての製品についてこの精度を維持することは難しく、大きな在庫削減には
ならなかったが、方向性は示せたと思っている
在庫削減のテーマからそれてしまったように感じるかもしれないが、本質は売り切れの恐怖
だと思っている
在庫削減に取り組んでいる方々の参考になれば幸いである

TOP 戻る