TOP 自分の思い 邪馬台国 バイク 瓢箪 霊場巡り 囲碁と将棋 CAD/CAM 生産管理 海外の思い出 索引
需要予測のイロハ

重要予測は過去の売り上げ実績を基に、今後の売り上げが
どうなるか予想するジャンルである
その基本知識を説明する
右図はある製品群の販売数の週間毎の合計値をプロットした
折れ線グラフである
少し古いデータで恐縮だが目盛りの0612−1とは2006年度
の12月1週目という意味である
エクセルの癖で表示が細かいため目盛りが2週間毎になって
しまっているが間に折れ線のプロットがあるのが見えると思う
縦軸は販売数である
皆さんはTCSI分析という言葉をご存じだろうか
TCSI分析とは、数字の変化を
@Trend(傾向)
ACyclical(循環)
BSeason(季節)
CIrregular(不規則)
の4種類に分けて考える方法である、この例でいえば
@傾向変動:去年より売れる、年々増加傾向にある
A循環特性:毎年3月、9月に決算のため販売が増える
B季節変動:夏場に売れる、冬場に減少
C不規則変動:顧客計画、新製品発売、自然災害、
公共ニュース
これを曲線として右図にあてはめると下図のようになる
ただし、傾向変動はこの場合、1年だけの表示なので判らな
い
しかしそれ以外は比較的顕著に出ていることが判る
販売部門と工場部門とで今後の見通しの話になると、販売
部門は不確定な部分への責任を負うことを嫌うため、「先の
ことは判らない」と弱腰になりがちである
しかし工場では鉄板や半導体の手配等で、3ケ月以上先の
販売見込みについて何らかの決定事項を出さなければなら
ないといった事情があり、双方でジレンマが発生することがある
その時にこれを思い出し、上記4つについて個別に検討する
と良い
もちろんこのようなグラフを書いても細かい変化は判らないが
細かい変化だけなら、某一流自動車メーカーお得意の「売れた
だけ作る方式」でいける(ここでは後補充生産方式といっておく
生産サイドで欲しいのは、季節変動や循環特性、傾向変動
ではないはずだ、ましてや細かい変動でもない
欲しいのは不規則変動だけであることが判るはずだ、それを
曖昧にして先3ケ月の予測というから営業も動けないのである
むしろ、季節変動や循環特性、傾向変動は工場の責任で作っ
たほうが精度がいいぐらいである
これらは案外個々では答えられるものなのである
少なくともC不規則変動以外はある程度の精度で販売数が
判っている
また、不規則変動の内、人為的なもの、上の例でいえば、
顧客計画、新製品発売予定、大口受注等は比較的早めに
掴んでいるケースが多い、もっともそれが営業の仕事なのである
逆に自然災害や外国の紛争等、自社努力では把握できない
ものは、最初から計画に入れるべきではないということで、
合意しておくべきである
工場はこの販売見込みを基に生産計画を作るのであるが、
工場設備の能力を出来るだけ低くし、負荷平準化をして、安く
安定的な生産をしたい
このケースでは季節変動の部分だけならは夏と冬の2段階で
生産数を一定に設定すれば少ない在庫で生産できそうである
問題は循環特性と人為的不規則変動への対応だが、時期と
量を販売部門である程度予測できるので前倒し生産しても不良
在庫はそんなに発生しないことが予想される
しかし生産するなかで季節変動分とは区分けしておく方が責任
が明確になって次回の改善につながると考える
私の場合は生産方式を「後補充生産方式」と「受注生産方式」の
2種類に設定し、日々の細かい売れの変化は後補充生産方式で調整し、
大口の生産はまとめて受注生産で対応し、出荷するまで在庫する
大口生産の予定変更があった場合は工場と販売責任者双方の
合意のもとで後補充生産方式の在庫に変更する等のルールにした
同じ製品を2種類の生産方式で作るという発想は教科書にはない
日々の活動に夢中になっていると、販売数は一見ランダムに
見えがちである
しかし、それをこの例の様に要因別に層別して把握すると個々
の数値は時期も量も比較的明確であることがわかる
このことを意識して仕事に取り組むだけで、過大な在庫を抱えて
悩まなくて良くなるのである
TOP