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CAD/CAMについて

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もうずいぶん昔になるがCAD/CAMシステムを使用して設計を
したことがある
当時はCAD黎明期であり、第1次CAD導入してから2次で導入
する3年間で価格が1/3になり、性能は約5倍、更に5年後に
は価格が1/10、性能も10倍、価格性能比で実に100倍にな
る位変化が激しかった
一次での導入に関する最大の悩みはどんなに設計作業を効率化
しても採算計算で赤字となる事だった
それでも他社に負けじと研究投資的な理由で導入することになった
私は一次の導入が決定し、そのシステムのお守役に任命され、
事務処理的汎用コンピュータのSEから、開発設計部門に異動し、
一転、設計者として、CADの運用も兼任で担当する事になった
一次で導入したCADシステムは汎用コンピュータで稼動する仕組
みであったが、開発部門に汎用コンピュータについて知識のある
人材がいなかったのである
また汎用コンピュータの部門では事務処理経験者はいたが、技術
計算分野の知識のあるSEはいなかった
唯一私が学生時代にFORTRANでプログラミング経験があること
からスカウトされるかたちで異動したのである
それから3年間、設計経験ゼロの状態から勉強し、同時にCADシ
ステムを使用した効率化も行った
一応の成果を出し、今度はWS(ワークステーション)型システム
で稼動するCADを追加導入した
今度の導入責任者は私だった
価格性能比で15倍も進化していれば効率化を目的にした投資と
いう名目で胸を張って主張できた
私に期待されたのは、1次で夢のうわごとのように唱えられた「自
動設計」と開発から加工までの一貫化、いわゆるCAD/CAM化
であった
そのテーマで更に2年間取り組んだ
合計5年間の内、後半の2年半は無人の荒れ地を突き進むかの
ごとき前人未到の分野だった
概念的にはいろいろ言われていたが、CAD/CAMだけでなく、
CIMSIS、NET社会、EC等々は当時は全く実現していなかった
メーカーからその謳い文句で発売されるものは、実務では使い物
にならない表面的なデモシステムばかりだった
概念を実現するには情報機器の能力が不足していたのである
しかし急速に進歩している事は事実であり、人々に期待を抱かせ
たのであろう
夢を追いかける事が不可能を可能にする
今でも似たような状況と思う、例えばモバイルiーPAD等をみて
も確かに部分的には新しい技術かもしれないが、今までより少し
ゲームがし易かったり、画面が見やすかったりする程度の内容で
新奇性を大げさにコマーシャルしている状態である
使ってみれば判るが指でなぞると画面がその分動くなんて、利便
性には全く影響ない、むしろページ単位でワンタッチで変ってくれた
ほうが遥かに効率的である
このような見かけ騙しを大げさに表現し、素人である経営者に投
資させ、結果として私の様な担当者が夢の残りの最も難しい部分
を担当させられる、当時はそんな被害者的意識がかなりあった
時々業界誌を読むがどうもいまだに大きな進歩がないらしい
コンピュータの性能は上がっても、中身のソフトの進歩が人間の
努力のスピードでしか進まないため、遅いようである
そんな中で最終的にCAD/CAMとかろうじて呼べる形で運用が軌
道に乗り、後輩も育成し後を託して元の事務処理分野に戻った
当時は不十分な状態で去らねばならない残念な気持ちであったが
その後数年するうちに実は数少ない成功事例に入るようだという
事が判ってきてかえって複雑な思いに駆られたのである
今でも2D−CADが商品として存在し、しかもその内容がお粗末で
私が作った補助機能のほとんどがいまだにサポートされていない
3D−CADにいたっては何おかいわんやの状態を目にするにつけ、
私が経験した世界をお話ししてもまだ役に立ちそうなので書いて
みることにした次第である

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