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品質の話

1.可能性の排除
安全の項で述べたように品質向上とは「可能性の排除」である
安全は行動がわが身に直結するだけに実行する人が多いが、
品質は行動に移すのに他者に依存する活動になることが多い
例えば部品の端にバリがあったとする、金属であれば危険であり
すぐに取り除かなければならない
放置し、社員が傷つけば安全の問題であり、すぐに対応するが
なぜか、社外でお客様やサービスマンがけがをしても即座でなく
いろいろな部署を通ってから、該当部門に対処依頼が来る
対応に金がかかる場合その費用はどこで持つのかといった事
が決着しないと手がつけられない
これは順番が違うということが判っている会社は一流である
つまり一流になるには真に顧客優先に体質を変えることが必要
なのである
この事例のように恒久対策には設計部門の参画が不可欠なの
であるが、そこまでやれる会社の何と少ないことか
もしあなたが経営者で外国製品に差別化を図りたいと願うなら
手をつける場所はここと思う
あなたの会社が今まで出来ていなかったという事は、特に欧米
の会社は真似できないということと同義である

2.完全品質(6σ)とは
昔、シックスシグマという言葉がはやった
その意味を知ろうとして本を買ったが良く判らなかった
私には過剰品質ぐらいにしか受け取れなかったのである
上記で外国製品との差別化の話をしたついでに、この話題にも
触れておくべきと思う
製品部品の品質は一般的に3σ(シグマ)が用いられる
例えば円形部品の外径に精度が要求される時、加工機の能力で
寸法がバラつくことがある、だから要求精度は10mm±0.002
のように上下に幅を持たせるのが一般的である
要求精度に対し、この幅を外れる部品が0.3%以内に収まると
その加工は正常と認められるようである
そうはいっても不良品ははじかねばならないので検査を行う手間
がかかる
しかし、この要求精度に対しはるかに精度よく加工出来たらどう
なるだろう
部品の寸法検査は不要になるのである
従って6σの精度で加工することは大きなコスト削減になる
こと品質に関することだけの6σの理解はこんな感じと思う
現実は6σで加工することが理論的に加工限界を超えていたり、
莫大なコストがかかって割に合わないということでこの用語は廃れて
しまった
しかし6σには品質でなくもっと戦略的に大きな価値が存在するの
ではないかと最近気がついた
つまり、先に述べた検査不要や、在庫なしでの生産方式、顧客からの
絶対的信頼(昔松下馬鹿という言葉があった、松下製品にしておけば
結局お買い得という考え方)、ブランド力が向上し、定価で売れる等々
である

例えばセブンイレブンのおにぎりが傷んでいると思う人はいない
以前に小売店が賞味期限が近い商品を値引きして売りたいのに
捨てないとダメと本部と裁判沙汰になった事がニュースで報じられ
たがセブンイレブンは顧客からの絶対的信頼に利益を度外視して
拘るべきだとの主張が感じられる

仮に創意工夫で従来とは違う画期的方法により、6σに相当する精度が
得られたならば、それは戦略的に大きな優位性を生む材料となるであろう
最近の事例ではトヨタ自動車のレクサスにその気配が感じられる
あれだけの加工精度を他者が創意工夫なしで実現しようとしたら多大な
経費が掛るはずである

昔の事例でで恐縮だが、日本刀の切れ味や、ホンダスーパーカブの燃費
等も過大な設備投資無しで精度が極限まで高められた事例ではないか
これらが6σだとはいわないが、思想に共通するものを感じるのである

私は6σを、品質を単なる技術の追求や分析手法として考えず、革命的
商品を作り出す考え方の一つと捉えることにしている

6σとは話がそれるが、もう一つの考え方がここに潜んでいる
3σが不良率0.3%といったが、部品そのものに着目した場合、それ以上
の話は出てこない、不良は不良である
しかし、現場でその部品を使うともう一つの可能性を考えない訳にはいか
ない、部品は必ず相手部品に取り付けるということである
全部とは言わないが、モノによっては相手部品の改善で、0.3%の不良率
が改善する可能性がある
先ほどの勘合(はめあい)の例では、自分は10mm±0.002でも、相手が
金属でなくプラスチックに変われば、精度は関係なくなるかもしれない
つまり±0.1でも問題なくなるかもしれない
この部品は±0.002の精度で加工し続ければ、たとえその精度を若干外
れても全数良品となる
もし研磨機の様な道具で手間をかけていたのならその分コストダウンの可能
性も見えてくるし、もちろん寸法検査は不要になる
この例の様な、従来の常識の枠内では永久に結論の出ない話が、視点を
変える事で大幅に改善されることがある
工場内ではゴミ、チリのない清潔な環境でも、その部品が使用される環境は
泥の中であったりする
そこで0.002の精度がどのような意味を持つのか、これも忘れがちな事で
ある
品質は工場で作られるが、保たれるのは使用環境の中なのである
実験室ではない
6σの考え方はその応用として、相手部品や使用環境も含めた総合的な観点
で「完全品質」の実現可能性を探ることと、解釈を変更すると良いのではないか
実はこれが私の密かに思っている6σの理解である


3.ポカ除けのレベル

ポカ除けとは工場での作業で作業者がミスをしないような仕掛けを施す事をいう
有名なのは豊田佐吉氏が織機の糸が切れると自動的に停止し、不良を出さない仕掛けである
改善活動の中でも各社とも力を入れている分野と思う
そこで、ポカ除けを分類してみた

ポカ除け

方法による分類を試みた     
ツール

これらの体系的捉え方はありそうでなかったと思うので
品質の話のついでに載せておく