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自動倉庫

昔の話になるが、自動倉庫のシステム設計をした事がある
高さ10mの柱に10段の棚を作り、奥行き30mを30個に区切り、
これを横に10列並べた
つまり10段X30個X10列で3000個の入れ場所がある
入れ方は順番でなくランダムになる、なぜなら空いた場所を有効活用
しようとすると、順番では常に詰め直しが発生するからである
ここは製品倉庫として使用するため、生産ラインから出来上がった製品
を次々と格納し、また出荷指示が来ると、古い順に出荷場所に取りだす
収納と取り出しはパレット単位で行い、パレットを積み、指定番地に持っ
ていく搬送装置がレールの上を走る仕組みであった
指示はパソコンのプログラムで行い、指示に従い生産ラインの出口から
製品を積み指定番地に持っていったり、製品名で指定番地を検索し、
そこから製品を持ってきたりする
多少のトラブルはあったがテストも終了し、なんとか本番にこぎつけた
その後しばらくして経過を聞きに行くと、担当者の顔がさえない
システムがうまくいかない時はもう少し高飛車にでて我々を呼び付けた
りするのであるが、システムの問題ではないらしい
現象は倉庫がいっぱいになり、新しい製品が収納できないというもので
あった
理由ははっきりしている、自動倉庫に入っている製品が売れない製品
ばかりなのである、入ったきり出ていかないのでは確かにいっぱいに
なるかもしれない
売れない製品はよそへ移せばいいというが、ではどこに移すのか
「売れない製品置き場」というのはいかにもヘボな感じでいやだ
これといった対策も打たないままいつしか自動倉庫の担当から外れた
その後どうなったか、倉庫はもちろん使用していたが、中身はどうなった
かは聞かず終いであった
これと同じ現象を最近靴屋さんで見かけた
靴のサイズで26〜27がどの種類も少ないのである
更にいつも私が買っている種類の靴が25.5cm一足しかない
靴の陳列棚はそこそこ一杯なので、新しい靴を仕入れて陳列してはいる
ようだが、要するに売れる靴は置いてないため、買い手は見るだけで
買わずに別の店に行く
私は田舎の甲高幅広足なので、いつもの靴が買いたい、だから注文して
取り寄せて貰っている、一度は店主に進言したのだが意味が判らない
ようだった
判りやすい例でコンビニのおにぎりの棚で考えてみよう
おにぎりは5種類で梅、こんぶ、鮭、たらこ、かんぴょうとする
それぞれ10個づつ仕入れてきれいに並べて置いた
しかし、ほどなくして追加注文するため棚を見たら、梅が5個、たらこが3個、
こんぶ、鮭が1個、かんぴょうは一つも売れなかったとする
そこで店主はどう考えるのが正解か
1案:
 基本的に売れただけ注文する、つまり梅を5個、たらこを3個、こんぶ、鮭
 を1個注文する
2案:
 注文してから納品までの売れるであろう数も加味して注文する
 つまり、梅を8個、たらこを5個、こんぶ、鮭を1個
3案:
 品切れになりそうな梅だけ5個注文する
4案:
 品切れになりそうな梅だけ5個注文するが、かんぴょうは3個残して7個
 捨てるかわりにネギ味噌を3個、ごまを3個注文する

正解は4案だと誰でも判る、もっと緻密に鮭とこんぶも捨てるべきかもしれない
売れない品物は置かない、しかし売れる品物だけ置くのでは客が不満に
思う、だからある程度廃棄を覚悟して品ぞろえをする
この「廃棄」という部分が有名コンビニ店で問題になったのは記憶に新しい
廃棄でなく安売りでも標準の棚に置かないという点では同じである
賞味期限の短い製品では当たり前の事が、期限があいまいな製品だと全く
違うロジックになる
過去何日間も全く売れなくても捨てるなんてもったいない、とりあえず取って
おけという事になる
もしかしたら来年のシーズンになればまた売れるかもしれない
そして作ったものを捨てないと上記自動倉庫のように売れない製品だけが
倉庫に置かれる事になるのである
根が深いのは捨てるというだけでは問題解決にならない事である
捨てなくて済むようにするにはどうすれば良いか
これは言い方を変えただけで、生産管理そのものである、MRPの目標といっ
てもいい
なぜ在庫が出来るのかなんて哲学的な命題では問題は解決しない
具体的に一個一個要因を改善していくしかない、急にゼロにはならない

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