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生命の誕生
我々は今、地球で生命として生きている
こんな当り前の事に疑問を持ったことはないだろうか
漠然と思っていたのは、細菌やウイルスのようなものが、有機物
(生物でないが生物の組成の素となる成分を持つもの)から偶然
の組合せで最初の生物が出来たのではないかということ
一旦生物が出来てしまえば、それは次々と増殖し、特定の割合で
突然変異を起こしながら徐々に進化していき、人類に辿り着く
一番最初の生命と呼べるものはどうやってできたのだろう
生命の定義を調べると
・外から物質を取り込み化学変化を起こして古いものを外へ出す
・自分と同じものを作り出す能力がある
・他と自分を分ける境界(袋の様なもの)がある
という事の様である
原初の生物は最近の研究では38億年前に既に存在しシアノバ
クテリアという0.1マイクロメートルの小さな「生命」らしい
この最初の生命が、どうやって無機物の中からできうるのか
ここに焦点をあてて議論したい
従ってここでは進化の仕組みは議論しない
偶然の組み合わせがどう起こりうるのか、この一点の議論を行い
たい
ウイルスの構造を調べると、RNAという遺伝子を中心にできてい
て、これが他の細胞に入り込み、細胞の増殖機能を使用して増え
て行くことがわかっている
つまりウイルスは単独では増殖できない
では増殖するには何が必要かというと、RNAの他に、RNAを読
んでたんぱく質を合成する仕組み、合成されたたんぱく質のなか
には自分と同じRNAとRNAを読んでたんぱく質を合成する仕組み
があること
さらに「自分」と呼べる部分も同時に作成するようにRNAのなか
にプログラムされている事
これらが「偶然」にアミノ酸やたんぱく質のごちゃごちゃした中で
作られなければならないのである
私にはこれが偶然に出来るようにはどうしても思えないのである
「自分と同じものを作るプログラム」をコンピュータのプログラム
で作ってみると判る
並みのプログラマでは想像も出来まい
(コンピュータウイルスというのは、プログラマによる生命創造の
挑戦であり実験なのである、だから作っていいという事にはならな
いが、自慢したくなる気持ちは判る、その欲望を抑えられるかどう
かが、とっちゃん坊やと大人の境目なのだ)
プログラムの様な構造のしっかりしたミスのない環境でさえ難しい
のに、混沌とした無機物や有機物がただ浮遊しているような状況
で「偶然に」完成させなければならないのである
しかも前述したような幾つかの要素をそれぞれに作り、それらが互
いに機能するように位置関係を揃えなければならない
プログラムに例えれば、自分を作るプログラムの他に、コンパイラ
とOSと追加メモリーを揃えるようなものである
そのため、生命は宇宙からもたらされたと他力本願に頼る意見も
あるという
しかし、結局はその宇宙で生命を作った何者かはどうやって生命
を得たのかという本質の問題の解決にはなっていない
宇宙でアミノ酸のような有機物は出来たかもしれないが、それと
生命との隔たりは大きい
仮に一億年かければ混沌とした有機物と無機物が気の遠くなる
ような偶然の組合せの結果生命となりうるのだろうか
順列組み合わせの問題を解いた事のある人ならば、一億年とい
うのはさほど大きな数字ではない事を知っていると思う
偶然の組み合わせを一億年かけても大して沢山組合せを試した
事にはなっていないのである
例えば、このHPの中に私の作ったライフゲームのプログラムが
あるが、あれは400X600の空間だが、これの10000倍の空間
というのは4000000X6000000となり、24000000000000
という数字になる、これのそれぞれが0,1のいずれかの状態を
取るので、その組み合わせの数は2の24000000000000乗の
組合せになる
仮に400X600の空間の計算を1秒でできたとしても、10000倍
の2乗は約300000時間=30年かかる
一億年というのは30年のたったの300万倍なのだ
組合せというのはこのように簡単に膨大な数字になってしまうので
ある
生物の組み合わせはこのスケールではない
一億年で計算できるような小さな数字でない事は容易に想像がつく
と思う
だからRNAが4個の塩基配列で出来ているといった場合、ライフ
ゲームと比べてもはるかに大きな組合せを試さないと、生命を生み
だす構造には成りえない
100歩譲って、偶然出来たとしても、その偶然を支えるもっと極端
に確率を高める環境がこれまた偶然に成立したとしか思えない
それはいったいなんだったのか
それこそが生命誕生のカギなのではないかと思う
そこで、地球の35億年前の状況を調べてみると、C(炭素)、N(窒素)
H(水素)、O(酸素)といった元素から、CH4(メタン)とNH3(アンモ
ニア)、H2O(水)ができ、空気中にはメタンとアンモニアが漂っていた
と考えられている
物理学者のユーリとミラーは試験管をつないで、上部にメタンとアンモ
ニアを入れ、下部に水をいれ、そこに電気放電を発生させる実験を
行った
するとHCN(青酸ガス)とHCHO(ホルマリン)ができたということである
青酸ガスとホルマリンというのは生物にとっては猛毒である
しかし驚くのは青酸ガスが5個集まるとアデニンとグアニンが出来る
のだという
アデニンとグアニンとはなんとDNAの4種類の塩基の内の2つなので
ある
参考までに残る塩基も構造式を示す
<構造式>

<DNAとRNAの残る塩基>

更にホルマリンからはブドウ糖などの糖類が出来るとの事
また青酸ガス2個が加水分解されてアミノ酸の一種ができるとの事
つまり青酸ガスとホルマリンが多量に水に溶けた状態から初期の
DNAや細胞のエネルギー源となる糖類が出来る可能性が判ったので
ある
推測だがRNAやDNAよりも先に糖類とアミノ酸が先に出来、糖のエネルギーを
使って、細胞膜とたんぱく質を次々と生成する様な仕組みが次にできたに違い
ない
そうして細胞膜の中にたんぱく質と塩基を囲いこみ生成する仕組み自体を
生成する仕組みが出来れば、次々と増えてやがて飽和状態から破裂する
破裂した瞬間に塩基が動き、やがてRNAのようなものができる
これでは単に同じ物質が出来続けるだけの仕組みだが、この順序ならば
あるいは増殖といえるかもしれない
単細胞生物が2つに分かれて増えて行く仕組みに近いと言える
これを1億年位続ければ、いつかはRNAやDNAといえる仕組みが出来るかも
しれない
自分自身の構造を記憶するというのはその位難しい事と思う
残念ながらユーリとミラーの実験から先へはまだ進展していないとの事だが
これだけの条件が判ればなんだか生命の誕生も嘘ではないような気がしてくる
つまり間違いなく生命は地球で生まれたのである、それも現在の様な酸素が
20%もある地球でなく、メタンとアンモニアの大気が充満し、地表には水の
ある環境で生まれたのである
更には雷の様なエネルギーのほとばしりがあり、地表ではマグマの様な
高温が水の中で発生する様な惑星でないと生命の基となる塩基ができない
最近の研究ではユーリとミラーの実験した条件ではなく、大気に強烈な圧力が
加わりまず炭水化物や窒素化合物ができその中の水より重い物質で土と親和
性の高い物質が生成される
地球が出来て数億年後に冷えてから、隕石が頻繁に落下する時期があった事
が確認されており、その時期に落下した隕石の周辺でこの現象が起きたらしい
それらの炭水化物や窒素化合物が海底の日光の届かない所に沈殿する
そうでないと紫外線や酸素で酸化され基の二酸化炭素やアンモニアに戻ってし
まう(酸化されたり加水分解されるというらしい)
沈殿した物質は強い海水の圧力のもとで更に地殻変動によるマグマの熱や圧力
変動をエネルギーにして脱水され(二つの物質が合体する時に水素と酸素が排
出される現象と脱水と呼ぶ)、より複雑な炭水化物やアミノ酸に変化する
これらが土や粘土の被膜で包まれて胞子状になって海底や地底でくっついたり
分裂したりしながら数億年経過する
自分と同じものを作り出すわけではないが、この胞子状の物体の様子はほとんど
生物である、違うのはRNAがないので単なるアミノ酸の塊が外界と隔てる膜に
包まれているだけということ
この物体の化石が30億年以上前の岩石から炭素の塊として発見されており、
この仮説が出来たとの事である
この説はRNAが非常に長い年月をかけて膜につつまれた物質の中で偶然に出
来た可能性を示唆している
単にRNAの基となる物質が水中に漂っているだけでは生物は発生しない
またRNAも基となる物質は強い圧力や熱等のエネルギーをアンモニアやメタン
に与えないと生成されない、瞬間的にあるいは偶然に数個出来ただけでは、また
加水分解されて元に戻ってしまう
保存の仕組みと折角出来たアミノ酸の融合拡散する仕組みが必要である
それも瞬間でなく数億年といった長い期間ずっと繰り返す必要がある
それらが偶然に出来るためには上記のような自然現象であったらしいことが
判ってきた
私の認識とはだいぶ違っていたが、逆に生命誕生の可能性ははるかに高い事
が判った、これならば生命が長い時間で組合せ理論的に発生するかもしれない
同時に宇宙空間では起こり得ない事も判る
単にハビタブルゾーンに岩石惑星があり水があると言うだけでもだめである
少なくとも数万年に渡りアミノ酸や炭水化物の塊が何者かに包まれ高い圧力下
で熱を加えられ続けないとダメなのである
しかし相変わらずRNAがどうやってできたのかの納得のいく説明にはなってい
ない
圧力と熱がどのように加わるとアミノ酸がRNAになるのか
それが今後の研究の方向と思う
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