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TOC理論
20年ほど前に制約理論というのが流行った時期が有る
アメリカのゴールドラットという人が発信源らしい
この本を読んでいない人は生産管理マンではないとまで言われた時期が有り
天の邪鬼な私はいやいやながら社内の先輩に本を借りて読んだ覚えが有る
みんな凄いというのだが私にはなんだか全く理解できない
とにかく退屈で同じことを何度も何度も繰り返してページを重ねて行く本だった
これで5000円もするのでは買わなくて正解だったと今でも思っている
最初に子供が電車ごっこをする話が出てきて、一番遅い子供に合わせないと
うまくいかないという
当り前じゃないかと思うが作者はこれこそがニュートンのリンゴの例えに相当
する大発見のつもりらしい、つまり万有引力に相当するものを全く説明しない
でリンゴが落ちた所だけを長々と読ませられるのである、たまったものではない
後半にボトルネックを中心に工程計画を組む話が出てくる
これも生産計画や部品構成表の知識が有る人でも意味が判らないと思う
工程計画のプログラムを作りうまくいかなくて悩んだ人だけがそのひらめきの
価値が判るのである
そして価値が判る人は自分でプログラムを組めるので作者の作ったシステム
はいらない
理論をもとにプログラムを作るのはそんなに難しくないのである
だから、逆に疑心暗鬼になる、こんな簡単な事がベストセラーになるわけがない
もっと裏に隠されたものがあるはずだ、私はそう思った
友人やこの本を読んで感銘を受けたらしき人にそれとなく確認したかったのだが
私の知る限りでは誰も私と同じ理解に達していなかった
工程計画のプログラムを組めなくて悩んだ人なんてそうはいない
そして組んだ事のある人は関心を示さない、なぜなら過去の問題だから
私が組めなくて悩んだ部分は工程間ループだが、擬似行程を置く事で回避して
いた、今さら違うロジックで組み直す事は許されない、遊びではないのである
感銘を受けたという人の説明はTOCの本の中の専門用語で説明されたため
私には理解できなかったが、少なくとも私と同じ理解ではない事だけは判った
肝心のなぜ感銘を受けたかを自分の言葉で説明してくれた人はいなかった
失礼になるので質問はしなかったが、どうやら洗脳されたように思われた
この本を書いたのはゴールドラットという人だが、インドの会社がこの理論を
基にして工程計算システムを作り日本にも売りに来ていた
システムの販売促進が真の狙いだったように思えてならない
このシステムの最大の長所は何か、TOCは何が良いのか
私流に説明すると、前提としてそれまでのシステムの欠点を先に説明しなければ
ならない、つまり従来システムの弱点を知らない人には馬の耳に念仏なのである
<従来システム>
部品を組立てて製品にして販売するタイプの企業では、一般的に製品の生産計画
を作る、他方でその製品がどんな部品で構成されているかを表現した部品構成表
を作る
この生産計画を時間軸、部品構成表を縦軸にして掛け合わせると、部品毎の注文
計画ができあがる、この計画に沿って部品を注文していき、製品を組み立てる直前
に全部の部品が組立ラインの周りに集まるように納品してもらい、生産をする
ところが、生産量が多くなってくると、自社の生産ラインも大変だが、部品を生産して
いる購入先企業も能力が厳しくなってくる
生産ラインに生産直前に部品を揃えられなくなってくるのである
ではどの部品がネックなのかを計画段階でチェックできないか
そのためには部品毎に生産能力を情報入力すれば計算可能である
しかし、このデータ入力が一般的にはデータ量が多すぎて出来ないのである
できても精度が悪く計算結果があてにならなかったりする
また部品生産方法によって計算方法が違うため、計算システムは非常に難しいもの
になる
それでも何とかシステムを組もうとすると、先ほど述べた工程間ループという問題が
出てくる、工程間ループについては、生産計画の別のページで述べたので参照願
いたい(論理的ループとして扱っている)
<TOC理論>
TOC理論の画期的な所は、ネック行程だけを相手にすればいいという所である
データ投入は特定行程だけなので、その行程を通過する部品だけにデータ投入す
れば良い、データ量は製品の生産計画と同じくらいの量のはずである
これならデータ投入可能である
そしてその行程を通る順で負荷計算すればいい、これも簡単なロジックである
他の行程は計算しないので工程間ループも発生しない
計算の仕方によっては生産計画での製品の生産順序に影響が出る事も考えられる
が、それはネック工程の後に在庫を持つことである程度回避できる
それ以外の部品は、ネック行程ほど忙しくないはずだから、生産可能なはずだ
だから行程負荷計算は必要ない、最適でなくてもいいはずだ
たったこれだけのことをいうために、5000円かけて分厚い本で語っているのである
ご丁寧にも理解できない人用にTOC2という本も出ていた
難しく説明した方が、あるいは説明が下手な方が儲かるというのは不思議な世界である
私が疑問に思ったのはたったこれだけのためになぜ皆があれほど騒ぐのか
他にもっと重要な私には理解できない深いものがあるのではないかという疑念があり
判らないふりをせざるを得なかったのである
私の説明はかえって理解出来た人達には難しく聞こえたらしい、否定されたのである
わたしは今でも自分の理解出来たこの簡単な内容があの分厚い本で説明したかった事
だと思っている
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