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自立分散協調方式
もう大分昔の話になるので、企業秘密や意匠登録には引っかからないと思うので
そのままお伝えする
某大手コンピュータメーカーのSEの方で表題の持論を展開する方がおられた
大変興味深く拝聴した事を覚えている
「材料から製品が出来るまで、色々な会社や行程を経ていくが、それぞれの生産工程
では必ずしも同期をとって同一の生産方式である必要はない、大量生産や受注生産と
いった生産方式は、各工程毎に別々に存在し、それらが互いに自立しながら同時に協
調して製品になっていくのである
ヒトデを逆さにすると、5本の手と足が全く違う動きをしながらなおかつ互いに協調して
ひっくり返るが、あれは本体にある脳が5本の足をコントロールしているのではない
それぞれの部位が独立していわば自分の判断で動いていてなおかつ互いに協調し
あっているのである
生産方式もかくあるべきである」
というのが大雑把だが氏の主張であった
当時駆け出しのプログラマーだった私は、まだ生産方式について勉強中といった
レベルであった
新規にシステムを作らねばならず、どんなふうに作ればよいかさえも判らず、藁にも
すがる思いでいろいろなセミナーに参加したり、営業を通してコンピュータメーカー
の方に今思えば幼稚な質問を投げかけていた
コンピュータメーカーの方もいわばお客であり、また知らないとは言えない立場である
自社の専門家をアサインし、若造にいろいろと教えてくれた
しかし、どれも私には決定打となる回答には思えなかった
ただ一社だけ納得のいく答えをいただいたのが表題の回答である
私が知りたかったのは自社に最適な生産方式は何かという事だった
条件として、製品の特徴や、部品の調達方法、現状の生産のやり方、自分なりに考え
た、なぜその生産方法になるのかといった出来る限りの条件を用意したつもりだった
この条件の中で今より良い生産方式を考案し、更には新しい生産方式にあったシス
テムを作りたい
おおざっぱにいえばこんな感じでメーカーの方に要求していた
しかし、どの会社も結局は自社のコンピュータやパッケージシステムの特徴の説明に
終始し、私の質問は無視された
当時はデータベースやMRPシステムの黎明期であり、なぜMRPなのか、データ
ベースはなぜ良いのかといったことに議論がいってしまい、成果である生産がうまく
いくかどうかということには疎い人たちがほとんどだった
私はどうもデータベースとMRPにはうさんくささを感じていた
今回のシステムに採用するのは見送った方がいいと直感が叫んでいた
ダブルビン方式でもいいからお客である工場の人達が納得がいく成果が得られやすい
システムが作りやすいと思っていた
しかし、お客の中にもMRPがいいという人達が出てくるに従い、私は自分の主張を
奥にしまって、システムを作らざるを得なくなった
嫌な事をやるのはなかなか覚えられないものである、未だにデータベースとは何なのか
自分の中では良さが実感できていない、もちろん説明はいっぱしにできるし、システム
構築もやった、でもやはりレスポンスが良くなく、運用に苦労し、どちらかといえば
失敗経験になると思う、出来ればいいというものではない
使いやすく、運用しやすく、トラブルにも強く、結果としてユーザーが喜んでるくれる
そうならないとたとえ自分の仕事がうまくいっても成功とは思いたくないのである
そんなこんなで結局その会社のシステムは採用せず自分には不満なコンピュータ
メーカーを採用し、データベースを基本にしたMRPシステムを使って生産管理シス
テムを構築し、結局失敗した(と自分では思っている)
今はそのコンピュータメーカーはコンピュータは売っていない
あれだけ大きな会社なのだから、何か別の業界に進出して頑張っていると思いたい
良いものは必ずしも売れるとは限らない、業界の常であるが、自立分散協調方式は
現代版地動説の様に時代に否定されてしまったのである
しかし私の中では生き続け、自己流のシステムである変動ランニングストックによる
発注点方式を生み出すにいたった
生産の流れをヒトデに例えたユニークさが特徴のその方の理論はその後どうなった
のであろうか
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