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事業計画シミュレーション

一度生産計画がコンピュータに登録されると、人間というのは
欲が深いもので、計画と製品情報とを掛け合わせて今まで
苦労して手書きしていた資料をコンピュータで楽に作れないかと
考えるようになる
その一つが事業予測である
この世界にはまりこむと非常に面白い
コンピュータを駆使していると実感できる分野と思う
ただし、コンピュータは正しいデータをタイムリーに必要とし
そうでない場合は時として大きな誤解を生む結果をはじき
出す、データ入力者との連携の大切さも同時に学んだので
ある

私が生産計画をシステム化し、ようやく軌道に乗り始めた時
計画担当者が相談に来た
経理部門が持っているデータと突き合わせて事業の近未来
の予測が出来ないかというのである
更に部品構成表と掛け合わせれば、部品業者との取引額や
部品の注文件数の将来予想が出来る
購買政策もやりたいというのであった
つまり製品の販売価格、利益、製造原価と生産計画を掛け
合わせれば、先々の販売額、生産高、利益が判る
その結果で事業計画を作成できれば、電卓作業が軽減す
るというものであった
実施は容易であり、仮のシステムもすぐに出来た
しかし結果はいくつかの課題を残した
1.事業計画は先半年から1年先であり、生産計画はせいぜい
 2〜3ケ月先である
 事業計画用に新たに生産計画を先一年分作る必要がある
2.新製品が生産計画に入っていない、もちろん経理データ
 もない
 経理は本来実績入力の仕組みであり、まだ売れていない
 製品は入力できない
3.計算は少しずつ内容を変えながら何度も行い、比較する
 のでないとシミュレーションにならない
 当時のバッチ型システムではデータ変更から計算までの
 手間がかかり困難である
 まだエクセルはメモリー不足でA41〜2枚程度の範囲でしか
 計算できず大型計算機に頼るしかなかった

それでも専用データを用意し、オンラインシステムを開発して
タイムリーにシミュレーションできるようにしてそれなりの成果は
出るようになった

更に私が取引先の負荷平準化を目的に開発した取引先別
部品注文見込みシステムを利用して、購買部門用の事業計画
も作った、これは購買政策やコストダウン政策(言っちゃって
いいのかな?)の戦略検討用になった

生産計画システムは単に製品を何時作るのかを表示する仕組
みでなく、ここまで活用して始めて成果が出ると思う

結論的にいえば、事実、実績を集積し、足し算するのがそれま
での事務計算分野のコンピュータの使い方であった
生産計画は近未来の会社の生産の様子である
過去を分析して未来の方向性を人間が意思決定するやり方に、
未来の姿の一部を実際に数字で示して見せるやり方を追加す
ることが出来るようになったのである
当時CIMというコンピュータ用語が流行った
コンピュータを使ってリアルに現実を復元し、事前予測に使おう
という仕組みである
結局、当時のコンピュータでは能力不足で、ほとんど夢幻に終
わったが、この事業計画という分野は発想は近いものがあった
と思っている