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マニュアルについて

新しい仕事に赴任した時、最初になにから覚えるか、必ず思うのが素人向けの
マニュアルの存在である
先輩から入門書を渡され読んでみようとするのだが、大抵は全く判らない
なぜなら入門書そのものが既にその道のプロを前提にしたものだからだ
テレビで「良く判るOO」という番組が流行っているが、あんな風に素人の側に立って
話をするのは実は非常に難しい
そんな経験から、私は新しい職場に赴任したら素人の立場で自分の覚えた事を
マニュアルとして残すようにしている
だから最初の1ページは、部屋の照明スイッチの位置である
以下、最終退出時の電源の切り方、掃除の場所と分担、週間行事予定や日報の
書き方・・・といった所から入る
仕事のマニュアルも基本から入る、それも当り前の所から書き始める
なぜならそれが素人にとっては当り前ではないからである
例えばパソコンの電源の入れ方、まず建物のブレーカーの位置、部屋のスイッチ
を入れ、パソコンのスイッチの位置を書く必要がある
更にそれを押すのか、上に上げるのか、そもそもスイッチはどこにあるのか
画面が出てきたらログインは何を入れるのか、パスワードは・・・全て記入する
機密も何もあったものではない、機密以前に仕事にならない、機密保持のための
パスワードなんて本音をいえばみんな知っていたりする
教えて貰わないと仕事が始められないので内緒で教わるというが、知らない人は
誰もいなくて、掃除のおばちゃんまで知っているのでは本来の役目は果たしていない
その位ならマニュアルに乗せるべきというのが私の考えである
こうして馬鹿でもちょんでも使えるマニュアルが出来上がっていく
そして出来上がった時には少なくとも私には不要になる
そのマニュアルが新人にとって有効が否か判定するには、たまたま来た門外漢の
人に見て貰い実際に操作してもらうのが一番いい
CADシステムの立ちあげ手順を経理伝票を持ってきた女性に操作してもらうなどは
有効である
「CADシステムの電源を入れる」だけではどれがCADシステムか判らなかったり、
リセットスイッチを間違えて押したりされても仕方がない
人間が能力を発揮するべきは、複雑なスイッチの入れ方を覚えたり、毎週変わる
パスワードを覚えたりするところではない、その先の仕事としてお客に喜ばれる部分で
なければならない
本来は必要でない部分を見極め徹底する事が周囲の人の効率に繋がる
操作を教わること自体が既にロスである、判らなくて2回教わる等は論外である
しかしマニュアルを作るのもロスなので、何人の人に伝達するのかの大まかな目安で
価値を判断すべきだろう、1〜2人が対象ではマニュアルを作るよりマンツーマンで教
えた方が早くて安上がりかもしれない
だから市販のテレビや電気釜などのマニュアルは徹底して判りやすく作るべきである
インターネットに掲載する情報なども見る人の人数を考えると徹底して判りやすくする
必要のあるものの一つかもしれない

マニュアルのもう一つの要点は洩れが無い事である
マニュアルを使う人の知りたい内容が全て書いてあるのが親切であり、そうでないのは
片手落ちと言われても仕方あるまい
色々な視点から項目を洗い出し、記入してないジャンルが無いように努めるべきである
これは簡単に見えて難しい、自分が困った事だけ書いて、そうでないものが載っていな
い場合が結構ある
全部で3つのケースしか経験が無いからと言って3つしか書いてないのではまずい
それ以外にあと何があるのか合計でいくつなのか、この3つのケース以外はなぜ説明
が不要なのかを冒頭で説明しておく必要がある

以上判りやすいマニュアルの最低条件を述べてきたが、技能的な仕事では先輩から
それも熟練者から反対される事がある、忍耐強く言い分を聞くと、結局は自分が苦労
して必死に覚えた事を簡単であるかのように書かれるのは心外だ、極めるという事を
軽んじられるのが気に食わないという風にしか受け取れない
自分の会得したものをマニュアルにしてくれというのもあるが心のどこかに不満があり
それが最後は強く出てしまうのだろう
定年を2〜3年先に迎える人が引き継ぐ人を見つけたがいない、せめて文書で残したい
しかし、どうにも書きようがない、助けてくれというのもあった
親方の背中を見て覚えるという言葉がある、またナレッジマネジメントというのも以前に
流行ったことがある
誰でも判るマニュアルと言うのはこれからの世の中ますます重要になるのかもしれない

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