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後補充の条件

世の中で後補充の考え方が流行った時、私もその波にのまれた事があった
後補充の考え方は簡単である、だがやってみるとうまくいかない
何故だという事になった
私は理屈で飯を食っていたので理由はすぐに判った
だがいくら説明しても周囲が納得のいくものではなかった
・成果に対する望みが高すぎる、後補充で計画発注より部品在庫が少なくなる
 はずはない、理論的に無理があるのに承知できない
・成立条件を整えられない、生産の安定とか設計変更対応、部品共通度・・・
これを実践しうまくいったトヨタ社がどれだけ苦労したか
しかもトヨタでは後補充はいわば改善の道具だと言っているのに聞こうとしない
ここで改めて経験則から後補充の成立条件=改善内容について持論を書いてみたい
1.計画に対する実績の追従度
  後補充に計画は無いと口を酸っぱくして言う人がいる、しかし、生産の安定や平準化
  とは計画生産を言い換えた言葉であるという事を言った本人が気づいていない
  ここに大きな悲劇が発生する
  つまり教わる側は理解できないのである、矛盾しているのだから当り前だ
  暗黙のうちに明日も同じように生産がある、もちろん多少の変更はある
  これが後補充の前提である、そうでなければ決まった箱単位で納品できる訳が無い
  明日も同じように生産があるとはどういう事なのか、誰が保証するのか・・・

2.特定商品用の専用部品は後補充でなく、特注で手配する
  共通部品とはどの程度の製品に共通の部品を言うのかルールがある
  もちろん全ての部品を対象としたいがそのためには専用部品の段取り替え時間を
  秒単位に短縮しなければならない
  これが出来ないから後補充が出来ないという人さえいる
  製品の一個流しは有名だが、実は一個流しは製品よりも部品すべてに及ぶのである
  これは後補充自体の実施よりはるかに難しい作業である

3.後補充がうまくいかない部品は最善の方法に常時改善できる力がある
  後補充に拘るが、一時的にもっと良いやり方にしておき、部品強度を上げるなどして
  条件を改善してから再度後補充をする等対応が柔軟で機敏にできる能力がある

4.改善は開発設計段階からやれる
  これが一番難しい、しかしこれが出来ないとサプライヤがついてこないし、部品共通度
  が上がらないから後補充部品の割合が少なくなる
  開発段階から後補充を意識するとは、新規部品でなく出来る限り従来部品を使用して
  開発するという事、それでいて新規性を確保するという難しい命題をクリアしなければ
  ならない

5.売れない製品は素早く売り切り、店じまいする
  売れないものを売り切る難しさは営業経験者なら不可能な命題に見えるに違いない
  しかも、一度売りだした以上アフターサービスの責任が発生する
  売りたいとか、売らねばならないといった根性論をいかに排除できるか

こう書いてみると、実は製造部門の要因やサプライヤの要因は比率が少ない事が判る
確かに段取りがえの時間短縮は難しいテーマだがそれでも開発設計部門や、お客の絡む
営業部門の改善に比べれば容易かもしれない

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