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PULLとPUSH自論
生産管理方式を学ぶ際に避けて通れないのが、押しと引きという概念の違いである
押しとは、計画通り作るという考え方を言い、引きとは必要なだけ前工程に取りに行くと
いう考え方を言う
引きの場合は計画はいらない、引かれたらその分だけ(=ここがポイント)作ればよい、
つまり作りすぎにならないという意味になる
トヨタ生産方式で言われるムダの中で作りすぎのムダというのがある
このムダを出さないための具体策が引きの概念という事になる
本当にそうなのか、トヨタには生産計画が無いのか、1歩譲って生産計画はないとしても
事業計画や販売計画もないのか、そんなことはない、それをやったら株主総会で説明で
きないはずだ、来期利益をどれだけ出すと説明できない会社は存在できない
営業にもノルマがあると聞いた、ノルマとは計画そのものである
ではその販売計画や事業計画をどのように工場に展開するのか
コンサルタントから生産計画を否定された時の私の頭の中は瞬時にそんなことがぐるぐる
と回った事を覚えている
これは絶対に嘘だ、そう思った私は東京へ行き、某有名な本屋さんで本を立ち読みで
真剣に探した、載っていなかった
コンピュータ関連の書籍で遂にトヨタも生産計画があり、所要量計算を裏でやっていると
いう記事を見つけた時は嬉しかった
当時の私は生産計画の考え方の普及と活用が仕事だったのである
別にトヨタ生産方式を社内で進めるのを邪魔する気はない、むしろ近い将来コラボしなけれ
ばならないと思っていた、だからコンサルタントの話を聞きに行ったのにひどい思いをしたと
思った
理論的に考えて、かんばん方式だけではかんばん方式の運用がうまくいかない部分がある
のである
どことは言わない、かんばん方式の運用をした方なら既成の知識だし、やった事のない人
にはとても難しい話で文章だけでは私もうまく説明できる自信が無い
それを生産計画と所要量計算なしでできるのなら素晴らしい、いったいどんな工夫なのだろう
しかし、実際はうまい話は無く、裏で所要量を回すという私の想定通りの内容だった
だから、そのコンサルタントがかんばんシステムと称するカード仕分け装置を導入しようとし
た時は、反対せざるを得なかった
当初は私の反対はやせ犬の遠吠えに聞こえたらしい
しかし、運用を開始して半年ほどして担当者から泣きが入った
生産計画と所要量計算を使用したかんばん制御システムを作ってくれというのである
コンサルタントは現場第一主義とかで生産管理システムは全くの素人であるため、何度説明
しても理解してくれないのだという
止むを得ず以前に私が想定した仕組みを説明すると細かい所はともかく、ほぼ想定通りだと
いう
残念ながらカード仕分け装置と生産管理に使用しているコンピュータとは相性が悪く、データ
を伝送する事が出来なかったが、情報量が少ないためフロッピイで手渡しで運用する事に
なった、手間はかかるが以前の半分程度の時間で出来るようになったとのことであった
やがてコンサルタントが去り、カード仕分けシステムは対象部品を絞って本当にかんばんに
向いた部品に対してだけ運用されるようになった
私に言わせればそれは名前だけがかんばんで、もはや形だけの別物であった
第一、トヨタ生産方式の中でも肝心な改善の思想や人間性尊重の精神が抜けている
トヨタさんがかんばんという名称を意匠登録して使わせない理由が判った気がした
あんなものをコンサルタントに習ったかんばんシステムだなどと言いふらされたらたまったもの
ではあるまい
逆にそれまで門外漢だった私は、かんばんの奥の深さに触れる事が出来、生産計画の活用に
ついてもっと深い研究が必要であると思うようになった
まだ、この当時はPULLとかPUSHという言葉は一般的でなく、私もこの概念の違いを説明できず
非常に苦労した
更に融合させなけらばならないので余計に苦労したと言った方が良いかもしれない
情報システムを否定したトヨタ系コンサルタントを擁護すれば、そのコンサルタントがトヨタに
いた当時は情報システムは脆弱であり、まだ所要量計算がうまく出来なかった可能性が高い
不十分なまとめ生産方式より、不十分なかんばん方式の方がましだという結論が出たなら
それには私も賛成する