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スズキ Vストローム1000

リターンでバイクに再び乗り始めて早くも20年が経過した
最近は仕事もせず、うつろな人生を送る自分にとって20年というのは
長かったようで、短かったようでもある
現在は2022年3月だが、7月でもう70歳になる
そろそろバイク人生の終カツというのを考えるべきと思っている
いままで事故も無く無事に来れた事に感謝している
私は無神論者だが、善行が運を呼ぶというのは本当かもしれないと
思い始めている、少なくとも札所巡りは神様に悪い印象は与えなかっ
たようである
最後に乗るバイクは最初に乗ったバイクと言うのはよく聞く話である
私の場合はホンダC115Sだが、さすがにもう販売していないし、名車
という訳でもないので、旧車としてマニアがもちたくなるような機種でも
ないので、博物館にでも行かないと見る事さえできない
バイク販売大手のSOXでインド産のバイクを販売していて、その中に
ホンダ製CD110というのがあった
タンクはカラーでFIになっていたが、雰囲気はかってのC115Sに似ている
なによりキックがついているのがいい、セルも付いていて、エンジンストッ
プスイッチと共用であり合理的にできている
以前からこのスイッチは見かけ倒しで不要と思っていただけに、この点が
非常に気に入っている
キックもバッテリー上がりに強いと言う意味で好感が持てる
タフな感じが車体から伝わってくる
インドらしくタンデムステップがロングスカートの女性用に横に板状に長さ
30cmで幅5cmくらいのが付いている
スカートがタイヤに巻き込まれない様に板の上にタイヤカバーまで付いて
いる
そこにサイドバッグがそのまま付けられそうである
タンデムシートの後ろには巨大な荷台が付いており、日本のバイクのよう
に華奢でなく人が乗せられるのではと思う位頑丈そうである
<CD110インド製>

よし!!、これにしようと思い密かに狙っていたが売れてしまって店頭から
消えた
うじうじと悩んでいたが、待てよと思いなおした
私のバイク人生は本当にこれで終わりなのか
もうちょっと乗っていたいと言う気持ちがどこかでくすぶっている
死ぬときに後悔したくないと言う思いでバイクに乗り始めたのではなかった
か、どうせならバイクの上で死んでやれ
そう思い直して、ラス前でもう一度でかいのに乗る事にした
いざそう思ってバイクを物色してみたが予算がせいぜい50万円以下で
これはというのはなかなかない
矛盾した希望があり、ゆらゆらとゆれてどうにも決められないのである
・スクーターの様に風除けが欲しい
・とり回しを考えると重さ200Kg以下
・どうせなら大きいのに乗りたい
・鼓動感を味わいたい
・やっぱり小さくて運転しやすい125ccクラスにしようか、だいいち扱えるのか
等々
そんな思いでスズキのSV1000やホンダド―ビル、スズキのイントルーダー
1400等の価格が適当と思われる中古バイクを物色していた
いっそのこと憧れのカワサキZZR1100にしようかとも思った
もう中古価格もこなれてきていたのである
そんな思いをいだきつつ何時も購入していてお友達になったレッドバロン店に
バイクを見に行き、ぐだぐだとしょうも無い事を言い続けた
さすがに商売である、そんな私の言う事をじっと聞きながらこれはどうだ、あ
れはどうだと根気よく付きあってくれた
その営業担当が、決め手と出したのが33万円のVストローム1000だった
私も意外だった
アドベンチャーバイクは一時のブームほどではないにせよまだまだ人気が
衰えていないと思っていたから、人気の中心的存在のVストロームがそんなに
安いとは思わなかったのである
後で調べたら、初期型のVストロームは2002年から2006年にかけて販売
されたが、海外だけであり国内では逆輸入でないと乗れなかったらしい
その後一時販売が停止され、新型として1050ccになって再販されたが今度
は国内でも販売された、私に勧められたのは初期型だった
私は身長が180cmあり、シート高が高く足が付きにくいバイクもさほど苦に
はしない、立ちゴケが若干心配だがそれ以外は条件が揃っている
・鼓動感はVツインであり、これで鼓動感が希薄ならこれ以上を望むのは
 無い物ねだりといわれてもしかたがない
・風除けがスクーターほどではないにせよ一応付いている
 初期型Vストロームの出た時期はまだ各社ともロングツアラーとしての機
 能が明確でなく、風除けや大型サイドバックを車体の前後に4つも積むと
 いうニーズが判らなかったようである
 風除けは小さく、サイドバックは付けずらい
・トレールは長距離ではシート幅が狭く尻が痛いのだが、これは大丈夫そう
 である、どこまでも走っていけると言うコンセプトなので多分大丈夫だろう
・Vツインの最大の欠点が後ろのエンジンのマフラーが外にはみ出し、足に
 当たって火傷しそうになる事だが、背が高いのを利用してマフラーを中心
 部から下に出している、後席の横で表に出てくる所では丁寧にマフラーカ
 バーが付いている、これなら火傷しなさそうである
・ツアラーというのは最低でも航続距離が400Km欲しいのだが、燃費が
 1000ccで悪い分タンクも大きい、20リッター入るそうなのでリッター20
 Kmとして400Km位走れそうである
・荷物入れが小さいとスクーターの巨大な荷物入れに慣れてしまったので
 不自由を感じそうであるが、40ℓ位のGIVI製バックが付いている
 サイドバックを取り付けるのに金属製のステーを付けなければならないが
 何とかなりそうである
・ETCが付いている、2〜3万円するのでその分得である
 このバイクで高速に乗らないのは性能の何割かを使わないのに等しい
・650ccのSKYWAVEに乗ったが、ものすごい加速だった
 1000ccのバイクの加速は想像しただけでワクワクする

これをラス前のバイクにしよう、良い思い出を作りたい
コケ無いといいな
乗りこなせなかったらどうしよう
・・・・
この間病院で血液検査を受けたら、糖尿病になってしまった
まだ症状がないが、血糖値は正常値の2倍に達している
なんとかラストのバイクに乗るまで体よモッテくれ
あとせめて4年バイクに乗りたい
そんな思いで必死に楽しむための、私の第二の青春の最後を飾るバイクなの
である、これでよかったと思えるバイクであって欲しい

2022年3月16日ついにバイクが来た
写真は前面シールドが小さいので塩ビの板をネジで取り付けた
テールボックスは少し小さいのでタンクバックを購入した
サイドボックスはマフラーが邪魔でつきそうにない
シート下のバッテリーからエンジンの横を這わせてナビ用のコード
を伸ばす予定
やはりスクーターと違って大きくてシートが高い、両足のかかとがつかない

バイク屋さんから乗って出る瞬間が一番怖かった
思えば10年以上MT車に乗っていない、ジュベル200以来である
エンジン回転を3000回転まで回して恐る恐るクラッチを離して行く
僅かに前進した所で思わずクラッチを握る、怖い
そのまま出口まで足でゆっくり進み、本来なら右へ出る所を左へ出る
右に出て道路の中央でこけたらと考えるだけで恐ろしい
クラッチをつないだ瞬間よたよたとしたが、何とか持ち直しギヤを2速に入れる
この瞬間までが一番怖い、出口は国道50号線なので、万一こけたら
素早く起き上がらないと危険である、その後、200m先でかろうじて右に曲がり、
狭い一般道に出る、背中に冷や汗を感じる
どの位アクセルをひねればどの位スピードが上がるのか、その間隔をつかむまで
が、最も危険なのである
信号で止まった瞬間もニュートラルに入れ、恐る恐るクラッチを離す
クラッチペダルから手を離し、髪の毛を少しいじって、ようやくほっとした
その後、家まで加速や、停止時に斜めにして立ちゴケしないかなどを少しずつ
チェックしながら帰った、案の定女房からはムダにお金を使ったと大目玉であった
私の人生のラストバイクになるかもしれないなどという必死の思いは恐らく話しても
判ろうともしないだろう

慣れるに従い、バイクの素生が判ってきた
当然だがスクーターに比べエンジンブレーキが効く、慣れるまではぎくしゃくすると思う
トルクは2000回転からあるが、調子よく回るのは3000回転から上である
残念ながら2000回転以下はノッキングをおこしてしまう、4気筒のBMWK100LTに
乗った時はアイドリングの1500回転からとろとろと走ってくれたのでその分Vストロ
ームのほうが乗りにくい
とりあえず大人しく乗るのが無難なので2000回転から3000回転の間で走ろうとし
たら、4速3000回転で60キロ出てしまう、直線で6速に入れて見たが、2000回転
ではノッキング寸前である、高速以外では6速は使わない事が判った
2000回転からでも加速はものすごい、前にいる車が邪魔に思えて仕方が無い
ちょっと車間距離を空けてエンジンブレーキで調整し、アクセルだけで走ると楽だ
シートは広く、スクーターと同程度でそこそこ広い、足が前方でなく下なので体重が
足にもかかり、尻が痛くなる事はなさそうである、後は数100キロ走ってみないと
判らない
V型エンジンなので2000〜3000回転でのんびり走ると薄いが鼓動感がある
しかしバランサーが入っているのだろうか、私には物足りない
2500回転位から無理なく加速して行くと良い感じである
振動と言うほどではないので長時間乗っても手や尻がしびれると言う事はなさそうで
ある
バイクの実力から考えるとこんな走り方では実力の5%位しか出していないと感じる
慣れるに従いストレスがたまりそうである
思えば車は押し並べてこんなギヤ比である、そう思って低回転でドコドコ乗ろうと思う
60Kmで2000回転ということは、高速でもせいぜい3000回転も回せば100Km
で走れそうである
追い越しもアクセル一つでらくらく出来るに違いない、スクーターがかわいそうなくらい
回転をあげて走っていたので、そういう意味ではストレスは無くなる
大きくて重いという第一印象だが、重さはスカイウェイブ650より30Kg軽い
私は180cmあるので両足がつく、もう少しでかかとが付く位なので安心感がある
見かけよりも停止時に軽く操作でき拍子抜けした
これなら昔乗ったBMW K100LTよりも100Kg近く軽いので少しくらいなら傾けても
腕力で持ち直せる事が判った
燃費は私の様に「もったら」走れば20Km/ℓくらい持つとの事なので、満タン20リットル
で400Km走れる計算になる
レギュラーガソリンなのも嬉しい、今時点でガソリン価格は170円位である
(バイク店の営業氏の説明ではレギャラーガソリンとの事だが、ネットで検索したら外車
は全てハイオクであり逆輸入車も当然ハイオクでないとだめだと書いてある
今度ハイオクを入れて2000回転前後の具合を確認しようと思う
ネットの記事によるとハイオクとレギュラーの境目は圧縮比11.0との事)
雑誌によるとVストローム650は30Km/ℓくらい持つらしいがさすがに1000ccでは
無理だろう
風除けが付いているがスクーターのでかい風除けになれた自分には非常に小さく感じる
足に当たる風はでかいタンクのおかげで直接の風は当たらないようだが、これもスクー
ターに比べればがまん出来るという程度である
多分風除けは大きいのを出していると思うので、後で付け変えようと思う
サイドバックがどうやら付かなそうである
初期型Vストロームはマフラーがシートの下を這わせて上の方に付いているので仮に
サイドバックを付けるとすると横幅がものすごく出てしまい、すり抜けは諦めざるを得なく
なる、このバイクですり抜けは出来てもやらないと思うが、車と一緒にだらだらと渋滞を
走るのも気が重い
タンクバックにしようかと思っている
クラッチが重いといやだなと思っていたが、2〜30Km町中を走ったが軽いので手が痛
くならない、もう一日中乗る事は無いと思うので、何とかなりそうである
タンクバックはレッドバロンにいったら5000円で結構大きくて良さそうなのを売っていた
他社ではこの位の大きさだと1万円位するので、なかなか良い、思い切って購入した
これで常備品のカッパや地図と常に取り出す必要のあるものとを分けて収納できる
バイクに荷物入れを全く見かけない人を見ると、人ごとながら心配でしょうがない
ナビは配線をプロにお願いしないと付かなそうである
シートの下にシガーソケットを格納する位のスペースがあるのでそこまではプロに依頼
するとして、そこからタンクの下をエンジンに触れずにハンドルまで持ってこなければな
らない、そこもプロに頼むしかないのだろうか
風除けは標準品が高いので、塩ビの板で自作した、ちょっと狭いがまあまあである
ガードをつけるとかっこいいのだが、もう売っていないようである
よく見るとエンジンの下には石ころからエンジンを守る様にカバーが付いている
私の望んでいるのは正確には転倒時タンク破損防止バーになるようである
まあ乗って見るか、この新しい相棒は高速が得意の様なので、暖かくなったら海にでも
行ってみようと思っている

<その後のインプレッション>
少し慣れて来た所で高速を300Km程走って燃費計測をしたら、25Km/ℓ持った
ゆっくり走ると燃費が良い、約3200回転でトップギヤで100Km出る
エンジン音がどこどこと微かに聞こえ、シートの下にエンジンがある感じが僅かな
振動から伝わってきて、良い雰囲気である
一般道でのぎくしゃくした感じと違い、このバイクにあったスピードと思う
一般道では山のくねくね道を走ってみたが、カーブ半径が小さい道では1速か2速で
ないとゆっくり曲がれない、特に急な登りの左カーブでは内側は勾配が急で半径も
小さいため曲がれない、センターラインよりでよたよたと曲がらねばならず、対向車が
来ないかひやひやする、このバイクには不向きと判った
下り坂はエンジンブレーキが良く効くので安心感があるが、やはり小さなカーブでは
怖い
一度だけひやっとしたのはS字カーブでギヤが高すぎたので減速しようとしてクラッチ
を握ったら急にトラクションがなくなり、大きくふくらみ、もう少しで歩道との境界の縁石
にぶつかるところだった、タイヤサイズが前が19インチと大きいことも影響しているの
だろうが、旋回しようとすると、小さく曲がれない
まだ私が慣れていないため、思い切りハンドルを切る事や、車体を大きく倒す事が
出来ない事が主原因だと思うが、この巨体を自在に操るのは、特に危険回避では
難しく感じる、当面はカーブは充分にスピードを落として曲がるしかない
バイク店でバッテリーから電源を取ってもらうように配線してもらい、ついにナビがついた
ガソリンタンクに小さな板がついており、その板を外すと、側面にコードを這わせられる
事が判り、タンク横の配線は自分でやった
こう見えても電気科卒業なので、最低限の知識や配線に必要な工具は持っている
昔はプラモデルを作るのに配線やはんだ付け等をやったこともある
何十年かぶりに作業してみたが結構指も覚えていて、コードの皮むきも一発だった
他の配線を見ると結構エンジンの近くを通している、電気コードの被膜が熱でやられるの
を心配したのだが大丈夫そうである
タンクバックは大きすぎてハンドル一杯に切るとキルスイッチにあたり、エンジンが停まって
しまう、反対側ではクラクションが鳴ってしまう
やはりサイドバックにするしかないのか悩んでいる
何日か走って見てスクーターとの一番の違いは面倒くさい事だと感じている
走っていてもクラッチ操作や、ぎくしゃくしない様にエンジン回転を調整したりやることが多い
これが意識しないで乗れるようにならないと乗りこなしたとは言えない
現在2000Kmくらい走ったが5000Km位乗らないと慣れないかもしれない
今は昔と違い朝から晩まで乗ると言う事はあまりしないのだが、それでも一日に200Km
位は乗っている、その位乗るとどこかが痛くなるのだが、やや尻が痛くなる位で他は問題ない
町中が多いと左手が疲れてくるが、我慢できないと言うほどではない
そういう意味では、スクーター並に乗車姿勢に無理がないバイクと言えそうである
バイク店の店長が「このバイクはどこまでも走っていけるというので人気ですよ」と言っていた
しかし、それは私にとってはバイク選びの最低条件なのである
逆に言えば他のバイクは半日も走ると乗るのが嫌になるということになる
バイク雑誌で特集を組むと、数台のバイクで3日程度のツーリングに行き、参加メンバーで
いろいろなバイクを交換しながら走るようであるが、一日目は元気だが、2日目3日目となる
に従い、過激なバイクから徐々に大人しいバイクに乗りたがるようになる
最後は大人しいバイクの取り合いになると言うような事が書いてある
ほとんどプロと言えるような人達ですらそうなのだから、市販のバイクのほとんどは長距離
ツーリングにむかないと言う事である
アドベンチャーバイクがなぜ人気になったかと言うと、乗車姿勢が楽で疲れないというのが
最大の理由であり、ガタガタ道を走ってアドベンチャーするためではないのである
格好やスタイルが良いとか、馬力が有るということを中心にセールストークをしてきた
メーカーがバイクを作り始めて100年もたってやっとユーザーが楽しく楽に乗れるバイクを
目的として作る気になった
考えて見れば情けない事である
もう時代はガソリンで走る乗りものの終焉を迎えている
道を走る、走りを楽しむ、2輪車・・・
こういった言葉が死語になる時が迫っている
あとから思えば平和でのんびりした時代に我々は生きているのかもしれない