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バイクの行方

いわゆるクラッシックバイクという分類が有る
文字通り昔に販売されて今も乗れるバイクという意味だが、これがなかなかの勢力を
持っており、最新バイクよりも人気の高いバイクさえ存在する
単に人気があるだけなら車にも非常な高値で売られているものがあり、例えばトヨタ
2000GT等は、スタイルは良いし、乗っていて独特の雰囲気が有り、私でも欲しいと
思う。しかし、性能では現代の車にかなわない、乗り心地や、エアコン等の快適装備、
安全装備や燃費などは古い車なりである。
ところが、バイクでは現代のバイクと比べてそん色ない性能機能を持っており、違うの
はデザインだけという感じがする
もちろん40年以上昔のバイクでは、ディスクブレーキや、モノショックサス等当時な
かった技術があり、その部分は古いのだが、だからブレーキ性能が極端に悪いのか
というと、それ程でも無かったり、乗り心地も大きな違いが無かったりする
現在でもクラッシック風バイクが生産されており、わざわざ2本サスになっていたりする
エンジン性能も馬力や燃費どれをとってもそこそこの性能であり、むしろ現代の馬力
規制のかかったバイクよりも高出力だったりする
性能に違いが無いとなると、後はデザインとか、いわゆる好みの問題が選択肢の重点
となり、結果として中古バイクの根強いファンがいて、その分新車が売れないという
状況が発生する、ここ20年位バイク業界の低迷が続いており、特に日本車の売れ方
が下降線なのは、そのことを物語っているように思える
単に少子化とか趣味の多様化を逃げ道にしてはならない
外国車はその点、一時期の日本車に負けて軒並み低迷した状態を抜け、メーカー独自
の特徴を前面に押し出したバイクが好調に売れている様に思える
もともと趣味の嗜好性の高い業界なので、全体をまんべんなく相手にする戦略よりも
特定のユーザーに絞った片寄ったバイクの方が売上が安定しているのかもしれない
既にスズキとカワサキはスクーターのOEM等と行った販売戦略を取っており、独自性
を持たない悩みが露骨に表れ始めている
もっと、古いバイクにない新しい魅力を持ったバイクを作る必要がある
その魅力は30〜40年前の馬力やDOHCといった高出力化のメカニズムではない
モノショックやグリップの高い幅広タイヤでもない
バイクは高出力にしても売れないという事は明白である
車でも同様だが、法定速度を大きく上回る性能は非常に限られたユーザー以外では
セールスポイントではなく、マイナス要因なのだ
車は快適性とか安全性、エコ(燃費)に魅力をチェンジし、一時期のデザインがどの
会社の車か見分けがつかないといった空気抵抗を考慮した芋虫デザイン症候群の
ジレンマから抜けだした
バイクではハーレーやBMW、ドカティ、KTM等の外国メーカーがいち早く「乗り味」
という非常に感覚的なジャンルで優位性を確保したように見える
ホンダはNC700という新ジャンルの創出に一時期力を入れていたようだが、ホンダ
契約店以外のバイクショップでの販売を認めない戦略をとり、見事に失敗した
もともとバイク乗りはホンダだけしか乗らないという人は少数派であり、大多数の人は
色々なジャンルの色々なメーカーのバイクを楽しみたいという人達である
趣味性が強いというのはそういう面を持っているという事なのである
自分の買ったバイクを別のバイクに乗り換えようとしたら、ホンダ店以外では引き取ら
ないと言われたら、ほとんどの人は二の足を踏む
日本のバイクメーカーはその程度の存在になり下がってしまったのである
ヤマハは前を2輪にした独特の機構を作ったり、クラッシックデザインを最新機能を
もったバイクに取り入れたり、必死に模索しているように見える
ヤマハの従来の特徴は軽快な取り回しのやんちゃなバイクと言った印象があったが
それを好みそうな若者が日本では少なくなり、この高齢化の傾向は海外の文明国で
も同様なため、じわじわと需要が減ってきたことへの認識が遅かったように見える
あるいは、東南アジアや中国で所得増加とともにバイクの売れ行きが増加した時期と
高齢化が同じ時期に発生したため、判断を誤ったのかもしれない
発展途上国では実用車として100CC程度の安くて丈夫なバイクが必要だが、先進国
では趣味性の強いバイクが望まれている
こんなことは、バイク業界の人でなくても判っている事なのに、なぜ先進国への対応が
遅れたのか
社内に根強い馬力信奉論者がいるとしか思えないのである
「まず、早い事、速さを象徴するデザインであること」
「機能はコストと相談して最低限他社に遅れない事」
「若者を取り込め、一度取り込めばずっとユーザーになってくれる」
・・・
バイク黎明期には常識であったこれらのもっともらしい考え方が、陳腐化しているのは
明らかである
私がいつも行く草木ダムのバイク乗りのたまり場では、前傾姿勢のバイク乗りが誰もい
なくなってしまったとのこと
事故を起こしたり、乗るのをやめてしまったりと理由は色々らしいが、夏の間は大勢来
るが、次の夏も来る人はほとんどいないらしい
そのたまり場でもう20年位たむろしている常連の方から聞いた
反面、長い付き合いになるのは2気筒やシングルエンジンのバイクに乗った人達である
その内の7割は10年以上古いバイクに乗っている
冒頭で話したように、特に2気筒やシングルのバイクは性能面では30〜40年間大きな
変化が無いので、後は若い時乗りたかったとか、たまたま安くて程度のいいのがあった
といったことが購入同期になるのである
私のSKYWAVE650ももう20年ぐらい昔のバイクになる
新車で販売された時はいいなと思ったが、100万円以上するのでは手が出ない
所詮は趣味なのである、生活に影響が出るコストは掛けられない
排気量とか馬力とかいう問題ではない、荷物入れが大きいとか、乗り心地がいいという
問題でもない、私の場合はあくまでも風除けのレベルが最優先なのである
他の人ではジーパンににあうとか、自宅から草木ダムに来るのに信号が多く、クラッチ
の軽いオフロード車がいいとか(W650とホンダ250トレールの2台持ち)皆違う
長い事乗っている人のニーズは独特であり、例えば燃費にこだわる人は最近では中国
だか韓国だかで作った安い125ccに乗っていた、ただしメーカーはスズキである
値段が新車で20万円程度で、燃費が50Km/ℓ位らしい
要するに燃費にこだわるという事は購入費用や、税金等の維持費にもこだわるという事
なのである
これにカインズで購入した荷物入れ(980円)をステーをうまくつけて取り付けていた
カッパや地図が入ればいいので、ヘルメットを入れるために丸くする必要はないのである
テールバックメーカーでは昔からヘルメットが入るのを宣伝文句にしているが、私の友人
でヘルメットを入れているのを見た事が無い
ラーメン屋に立ち寄る際もハンドルに掛けるか、シート横のヘルメットホルダーに引っ掛け
る程度である
第一カッパが入っている中に更にヘルメットが入るわけがない
このように多様化した趣味性の強いバイク業界で今後日本メーカーがかってのような繁栄
を取り戻す事はもう無いような気がする
大量生産、大量消費を前提にした高機能で高い信頼性の製品を、外国メーカーに真似の
出来ない価格で提供するという業界構造は、既になくなってから30年が過ぎた
我々ユーザーは素のバイクを購入し、それにオプションで大きな風除けを付けたり、カイン
ズの荷物入れを付けたり、車用のナビをステーを工夫して付けたり、良い音のするマフラー
を法規制の目をくぐりぬけて付けたりして楽しんでいる
メッキパーツを磨くのを趣味にしているとしか思えない人もいる、この人にとっては、プラス
チックを多用した現代のバイクは旧式バイクよりも「低性能」である
日本メーカーが、これらのユーザーに対して素材提供に徹するには価格で中国、東南アジ
アに負け、独自性では外国メーカーに負け、窮地に立たされている
私が別のページで書いた様に、従来なかった視点が今こそ要求されている
未だにQCDD(品質、コスト、大量生産、短納期)だけで他に取り柄が無いのでは売れるわ
けがない、ES(低燃費、環境規制)も既に時代遅れである
新しいトレンドは私は「自分らしさ」だと思うのだが、このページを読んでいる方はどう思うだ
ろう、「味」かな?

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